作家の村上春樹さんと翻訳家の柴田元幸さんが「もう一度読みたい」海外文学の10作品を選び、新訳・復刊する新シリーズ「村上柴田翻訳堂」が新潮文庫で始まっている。SFやネイチャー文学なども並び、古今東西の物語を読み込んできた2人ならではの個性的な選書が目を引く。年内には全作品が出そろう予定だ。
第1弾の4月刊では、村上さんが、米南部の女性作家、カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を新訳。多感な12歳の少女の心理を描く精緻な名編に新たな息を吹き込んだ。柴田さんは、米作家ウィリアム・サローヤンが自らの故郷を舞台に据えた代表作『僕の名はアラム』を新訳している。5月には、米作家、フィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』(中野好夫・常盤新平訳)と、英作家、トマス・ハーディの『呪われた腕 ハーディ傑作選』(河野一郎訳)を復刊。それぞれに村上さんと柴田さんが作品の魅力を紹介する解説セッションが収められている。7月以降も隔月で2冊ずつ刊行される予定。
今回の企画は、旧知の仲である村上さんと柴田さんが、再読したい作品について語り合う過程で持ち上がった。村上さんは創刊にあたり〈ぼくら二人が面白く読んだ本を選びました〉との言葉を寄せている。
「ジャンルや全体のバランスは考えていない。2人がとにかく好きなものを選ぶ、ということに尽きる」と柴田さんも話す。「ある作品を30、40年と好きであり続けるということには、それなりの意味があるはず。とくに先入観を持たずに、作品そのものの持つ良さをじっくり味わってほしい」
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