地形図を眺め、世界各国、過去、未来を仮想旅行する “地図マニア”今尾恵介の楽しみ方

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 8月28日NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」に『地図マニア 空想の旅』(集英社インターナショナル)の著者で地図研究家の今尾恵介さんが出演した。

■地形図を眺めて仮想旅行

 同書は今尾さんが地形図を辿りながら、日本国内の過去未来、世界各国を想像のなかで旅をした仮想旅行記。実際に今尾さんがその場に行っているわけではない。番組聞き手の高市佳明アナウンサー(44)は「どう考えても今尾さんがそこに行っていないとは思えないような描写がたくさんあった」と疑問を呈した。それに対し今尾さんは、「地形図には針葉樹林や田んぼや畑、高層住宅街や平屋など、地図記号でわかるような表現がしてある。非常に景色が良く見える地図が地形図」だと解説した。

■時間をも旅する

 今尾さんは場所だけでなく、時間も越えて仮想旅行をしている。明治期の赤坂や2038年の択捉島なども訪れ、そこで“見てきた”風景を描写する。日本の地形図は明治以降10年や5年間隔で修正されていった。そのため町や村がどのように変わっていったのか、「風景が地形図に保存されている」と語り、時間軸でその地域の生い立ちがわかると過去への旅ができる理由を語った。

■国による地形図の違い

 海外ではオランダやスイス、イタリアなどに仮想旅行をする。土地の標高差があまりないオランダの地形図は等高線が密に描かれている。それも日本の4倍。日本では10m間隔のところが2・5m間隔で描かれている。そのためオランダの地形図で等高線が詰まっている山は、日本で言うと丹沢山系くらいの本格的な山のように見えるが、実際は多摩丘陵程度の山だという。

■人物までも想像する

 同書は地形図が掲載されているが、堅苦しい本ではない。今尾さんはユーモアも挟みながら楽しい仮想旅行を満喫する。また旅の途中、実際にはいない人物とも出会う。完全に想像の世界だが、地形図に書かれている密な情報を見ていると想像を掻き立てられ、そこに住む人までも立ち上ってきてしまう、と今尾さんは解説した。

 最後に今尾さんは、旅行前に旅行先の地形図を眺めて予想すると、どこの景色が良いかなどがわかると述べる。Googleマップのストリートビューなどで「なんでも見えてしまう現代人にはそういう想像力が必要なのかもしれない」と想像を羽ばたかせる大切さと楽しさを熱弁した。

 NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」は毎週日曜6時40分ごろに放送。コーナーはNHKのウェブサイト(http://www4.nhk.or.jp/r-asa/340/)でも聞くことができる。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年8月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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