女優の杏が推薦“大人向け童話” 「注意!読み続けないように!」そのワケとは

テレビ・ラジオで取り上げられた本

5
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。2月12日の放送で杏さんはさくらももこさんも推薦するベストセラー童話を紹介した。

■「愛」について考える

 杏さんは「愛こそすべて」と『アミ 小さな宇宙人』エンリケ・バリオス[著](徳間書店)を紹介した。少年がある宇宙人と出会い愛を育む物語。宇宙人アミは少年に「地球はまだ足りていない」と愛の度数が低いと語る。「縛られなくてもいい。先の事を考えず今を感じなさい」と教え、宇宙を包む愛について話し出す。

 杏さんは「子供向けの読みやすい文章なんだけど、ちょっと気付かされる」と同書のメッセージに共感をあらわす。

 しかし前書きには「注意! 読み続けないように。きっとおもしろくないでしょう。ここに書いてあるのは素晴らしいことばかりだから」と大人に向けたメッセージがある。アミの語る宇宙は「法律=愛」のような世界であるため「罪がない」「所有欲が無い」「肉を食べない」など理想的な世界として描かれる。大人たちにとってはその世界は理想郷すぎると感じられることもあるだろう。

 杏さんは「賛同したい部分もたくさんあるけど、ここはまだまだ私たち地球人には真似できないな」と告白しながら「それを差っ引いても、いいメッセージが詰まっていました」と同書を薦めた。


■それでも理想を語ろう

 大倉さんは「はたして啓蒙思想で世界は変わったか?」と『カンディード』ヴォルテール[著](岩波書店)を紹介した。ヴォルテールは人間の理性は普遍であって、理性によって世界は善で治まると説く、「啓蒙思想」を代表する哲学者。同書は若く純粋な青年カンディードが善と悪が混ざりあう不平等な体験を次々と繰り返す小説。逮捕される、大地震にまきこまれる、死刑宣告を受ける、大金持ちになる、そして災厄によって全てを失う。人知の及ばぬ不平等に繰り返し遭遇したカンディードは、それでも自分の信じるところを生きていくしかないとの結論に達する。

 近年これまで世界で共有されてきた価値観が大きく揺らぎ始めている。『カンディード』で描かれる災厄は理性が否定され、不平等ばかりがまかり通る現代の戯画とも読める。災厄のなかにおいても「理想をもう一回語ろうじゃないか、というところに繋がっている」と大倉さんは解説。そして古典ながら「いまだからこれが分かりやすく感じるかもしれない」と現代的なテーマを扱った本だと薦めた。

 3週連続ゲストの清水節さんは『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき』レイ・カーツワイル [著](NHK出版)を紹介。また千駄木の往来堂書店店長・笈入建志さんが『ふわとろ SIZZLE WORD 「おいしい」言葉の使い方』大橋正房 他[著](株式会社 ビー・エム・エフティー)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170212000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年2月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加