【話題の本】『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』西原理恵子著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 ■厳しくも温かい、母から娘への言葉

 「王子様を待たないで」「お寿司(すし)も指輪も自分で買おう」-。1男1女の母でもある漫画家、西原理恵子さんが手がけたエッセー。「これから世の中に出ていく女の子に、覚えておいてほしいこと」の数々が記されている。

 娘が16歳の“巣立ち”を迎え、先日「卒母(そつはは)」を宣言した西原さん。本書には、「いい子にならなくていい。幸せを人に譲っちゃうから」「女の子こそ、生きていくための戦略を立てて」などの言葉が並ぶ。アクが強く、時には突き放したように聞こえる言葉もあるが、根底には温かさがにじむ。

 言葉に重みがあるのは、西原さん自身が苦労を重ねた人生を送ってきたからだ。理不尽な暴力が蔓延(まんえん)していた故郷からの“脱出”、元夫からのDVや死別、隣人トラブルによる鬱…。これらを乗り越えてきた西原さんのメッセージだからこそ、説得力がある。

 発行元のKADOKAWAによると、6月の発売後好調を維持し、売り上げは15万部に迫る勢いだという。SNSの普及などにより、一見耳あたりのよいキラキラした言葉が並ぶ昨今、本書の内容はある意味新鮮。「娘に送りたい」と購入する女性が多いというのもうなずける。(KADOKAWA・1100円+税)

 本間英士

産経新聞
2017年9月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。