【話題の本】『友だち幻想』菅野仁著

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■全世代に響く人間関係の書

 刊行は10年前の3月。著者の菅野仁さんは社会学者で宮城教育大教授だったが、2年前に病気で亡くなっている。

 編集の吉崎宏人さんは「執筆の動機は友人関係に悩む小学生の長女の暗い顔だったそうです。1人でも生きてゆける社会であるがゆえに複雑になってしまった人間関係を見つめ直してみようという提案の書です」と解説する。

 「刊行当初から好評で、月に100部は売れるロングセラーでした。それが昨年、何も仕掛けをしていないのに、販売部数が3倍に伸びました」と営業部の尾竹伸さん。「考えられるのは、スマホの普及で人間関係がより複雑になったということぐらいです」

 そして今年4月、日本テレビ系の「世界一受けたい授業」で又吉直樹さんが紹介したことで火が付き、発行部数は23万6200部に達した(5月18日現在)。

 「どんなに近い存在でも、自分とは違う考え方や感じ方をする他者である-を前提に、他者との距離を見つめ直し、〈親しさか敵対か〉の二者択一でなく、態度保留という道を選ぶことも大切-という提案は、中高生だけでなく全世代に響いているようです」と吉崎さん。まだまだ伸びそうだ。(ちくまプリマー新書・740円+税)

 桑原聡

産経新聞
2018年6月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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