女優の杏さんと旅人・大倉眞一郎さんが、ナビゲーターとして毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの人気ラジオ番組「BOOK BAR」。8月15日の終戦記念日を間近に控えた8月4日・11日の放送では、特別企画「平和を願い、過去から学ぶ!」にて2冊の本を紹介。これまで番組で紹介した1000冊あまりから厳選した50冊をピックアップした10周年記念本『BOOK BAR お好みの本、あります。』から、平和への願いがこめられた書籍を取り上げた。

■東京の破壊から復興を追体験

杏さんは、2010年11月の放送で紹介した秋尾沙戸子さんの『ワシントンハイツ GHQが東京に刻んだ戦後』を再度取り上げた。「私たちが今いる東京の風景というのが、戦中・戦後を通してどのように今の姿になっていったかということがわかります。今だと想像もつかないのですが、主要な通りに英語の名前がついていたことがあったんです」と、占領期に、日本にもかかわらずアメリカのような地名がついていた史実を紹介。
「この本を読むと、東京の町をすごく興味深く見直すことができます。東京はかつて一回壊されて、また復興していく中で、いろんな経緯があったんだなと、この本を通じて追体験することができるんです。よく他の現場だったり、人との会話の中で、何かおすすめの本ある?というときに、『本当に一回読んでみた方がいいよ!』とすすめるレギュラー入りの本です。もっともっと多くの人に読んでほしいですね」と魅力を熱弁した。

■人を殺したのかと、子どもに問われたそのとき……

大倉眞一郎さんは「本当に読みやすい本でありながら、ここまで深い本はなかなかない」と、2012年10月に紹介したアレン・ネルソンさんの『「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」』を再度紹介した。本書は、アメリカの貧困家庭に育った著者が、ベトナム戦争への従軍体験を綴った一冊だ。
「小学校の先生をしている同級生から、子どもたちにベトナム戦争での体験を話してくれないかとお願いされたネルソンさん。悩みながらも差し障りのない話をしていたら、ある女の子が、『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか』と聞いたんです。ネルソンさんはしばらく黙りこんで、イエスと答えます。その質問をした女の子が、彼を抱きしめて、かわいそうと言うんです。その後、ネルソンさんは沖縄へ行って、憲法9条の存在を知り、平和運動への道を歩み始めるというノンフィクションです。これを読んで思うのは、東京大空襲をはじめ、戦争で日本は大変な目にあった。そのあたりのことはたくさん描かれています。しかし、日本が一体何をしたのかということについては、日本人はほとんど描いてきていないのではないでしょうか」と話す大倉さん。
夏休みにこそ、普段手に取らないような本をじっくり読んでみてはいかがだろうか。

Book Bang編集部
2018年8月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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