稲垣吾郎「絶対に沖縄の方かと思った」直木賞受賞作『宝島』のリアリティーに愕然[ゴロウ・デラックス]

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TBS「ゴロウ・デラックス」公式サイトより

 稲垣吾郎さん(45)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に22日、第160回芥川賞を受賞した町屋良平さんと上田岳弘さん、直木賞を受賞した真藤順丈さんが先週に引き続き出演した。真藤さんが受賞作『宝島』(講談社)執筆の苦労と作品に込めた思いを語った。

■「戦果アギヤー」とは

『宝島』は実際に起きた事件をベースに物語を構成し、戦後の沖縄の実態を描いたエンタメ小説。米軍統治下で米軍基地から物資を奪う「戦果アギヤー」の若者たちを主人公とし、彼らの冒険と成長を描いている。第160回直木賞を受賞し現在22万部の大ヒットとなっている。

 物語は住民から英雄視されていたアギヤーのリーダーが姿を消すことで大きく動く。アギヤーのメンバーたちはその後それぞれの道で英雄であったリーダーの面影を追い、沖縄に尽くすという志を受け継いでゆく。真藤さんは「戦後の日本というのは英雄を探すような時代だったじゃないかと思う。敗戦から立ち上がっていく中で英雄像を追いかけていく。戦時中の英雄の面影を追うのか、新しい英雄の姿を探していくのか、という時代だったと思う」と述べ「“英雄の不在”を物語の一本の軸にしたかった」と同作に込めた思いを語った。

■沖縄愛を感じる作品

 物語に登場する「戦果アギヤー」は教科書などでは触れられることはないが、実在していた一団。沖縄を深く取材し、史実をベースに語られる『宝島』を直木賞の選考委員の林真理子さんは「沖縄への愛をものすごく感じました」と評する。「よく東京生まれ東京育ちの方がこれだけ沖縄の事を調べて、沖縄の人のメンタリティを身につけて(中略)よくこれだけリアリティーをもって書けたなと私は感嘆しました」とそのリアルな描写を絶賛した。稲垣さんも「絶対に沖縄の方かと思った」とコメント。

 真藤さん自身は残された資料をあたり、実際に現地を取材するというフィールドワークを大切にしていると解説しながらも、「外の人間が書くことで出てくる意味とか、沖縄の中の人たちには書けない切り口、普遍性の取り出し方もある」と沖縄外の人間が沖縄について書く意義を語った。

 しかし一度は執筆を断念したほどの葛藤があったという。「沖縄にルーツを持たない自分が書いてもいいのか。現代の問題と重ね合わせていくうえでの自分の考えがまとまり切れてない、固まりきっていない時期は書けなかった」と2年間もの執筆の中断を経ていることを明かした。

■芥川賞作家も驚き

 真藤さんは2008年ホラー、SF、エンタメ、ライトノベルなど様々な賞に作品を投稿し、いきなり四つの文学賞に入選してデビューしたという異色の経歴の持ち主。その年はひと月に1本書き、12ヶ月で12本書こうと決めていたという。そのハイペースっぷりに町屋さんは「凄すぎます。自分だったら3ヶ月ぐらいで倒れちゃう」と驚きをあらわしていた。

 また町屋さんは『宝島』の感想を「長い物語の中で、風景の描写の文章に緩みが出たりとかはしょうがなかったりするけど、『宝島』に関しては緊迫した場面にいくにつれて沖縄の土地感の描写が定形に収まらない文章でしっかり出てきて。そこでぐっと風景が出てくることで引き締まって。土地の感じが立ち上がってきて緊迫したシーンになるのがすごい好き」と真藤さんの描写に舌を巻いた様子だった。

「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58に放送中。次回は2月28日。ゲストは最果タヒさん。課題図書は『天国と、とてつもない暇』(小学館)。公式サイトでは予告動画を配信中。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/

Book Bang編集部
2019年2月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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