「類例のない驚嘆すべき一作」前代未聞の「水墨画×青春」小説に注目集まる

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 3月10日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『熱源』が獲得した。
 第2位は『むかしむかしあるところに、死体がありました。』。第3位は『ライオンのおやつ』となった。

 今週も本屋大賞ノミネート作品が順当に売れている。注目は9位の『線は、僕を描く』。事故で両親を失った青年が水墨画の芸術の奥深い世界に触れ、人生を恢復させてゆく物語。本職の水墨画家である著者の小説デビュー作であり、青春小説と芸術小説が融合した一冊となっている。昨年6月より週刊少年マガジンでマンガ化もされており、1巻から3巻が発売中。最終巻となる4巻が17日に刊行予定。講談社のマンガサイト「マガポケ」で立ち読みもできる。
https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156662388948

 書評家の杉江松恋さんは同作について《眼前で線が引かれていくのを見守るような気持ちにさせられる小説》と解説し、《自分が物語と一体化する感覚をたびたび味わった》《他に類例のない、驚嘆すべき一作である》と絶賛している。Book Bangでは著者の砥上裕將さんとマンガ化を担当する堀内厚徳さんの対談も読むことが出来る。
https://www.bookbang.jp/review/article/577840
https://www.bookbang.jp/review/article/573871

1位『熱源』川越宗一[著](文藝春秋)

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。 日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。 文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。 樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。 金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人[著](双葉社)

昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!? 「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。(双葉社ウェブサイトより)

3位『ライオンのおやつ』小川糸[著](ポプラ社)

男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、ある日医師から余命を告げられる。最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。(ポプラ社ウェブサイトより)

4位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼[著](講談社)

5位『幼女戦記(12) Mundus vult decipi, ergo decipiatur』カルロ・ゼン[著](KADOKAWA)

6位『店長がバカすぎて』早見和真[著](角川春樹事務所)

7位『魔王様、リトライ!(5)』神埼黒音[著](双葉社)

8位『ムゲンのi(上・下)』知念実希人[著](双葉社)

9位『線は、僕を描く』砥上裕將[著](講談社)

10位『背高泡立草』古川真人[著](集英社)

〈単行本 文芸書ランキング 3月10日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2020年3月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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