【話題の本】『ペスト』アルベール・カミュ著 宮崎嶺雄訳

ニュース

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ■病魔と闘う人間描き脚光

 「人間の弱さに失望してしまいそうな今、ぜひ読んでほしい一冊」(ツイッターより)

 新型コロナウイルスの感染拡大で日常生活への影響が広がる中、高い致死率を持つ伝染病の猛威を描いた仏作家、アルベール・カミュ(1913~60年)の代表作『ペスト』(1947年刊)が異例の増刷を重ねている。

 昭和25年に邦訳され、44年刊の新潮文庫版が半世紀にわたり読み継がれている。新潮社によると、中国・武漢市が閉鎖された1月下旬ごろからSNSなどで注目され、3月上旬までの間に計3万4000部を増刷した。例年の出荷は年4000~5000部ほどで、これほど大きな増刷は近年、例がないという。

 小説は仏植民地時代のアルジェリアの一都市を舞台にした群像劇。不意に発生した危険な伝染病のために町は封鎖され、市民たちは孤立状況下で見えない脅威を相手に長い苦闘を強いられる。病魔という理不尽な災厄の前に、人間社会の正義や神への祈りは通じない。だが、そうした不条理に対してそれでも人々が団結して闘う中で、「人間のなかには軽蔑すべきものよりも賛美すべきもののほうが多くある」ことを浮かび上がらせる。(新潮文庫・750円+税)

 磨井慎吾

産経新聞
2020年3月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。