【話題の本】『Banksy Wall and Piece 日本語版』

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■本人による唯一の作品集

 英国を拠点に神出鬼没で話題をさらう正体不明のアーティスト、バンクシー。一昨年、代表作「風船と少女」が競売で落札直後に裁断された“シュレッダー事件”は世界中を驚かせた。さらに昨年、東京都の防潮扉に描かれた「バンクシー作らしきネズミ」が大きな話題にもなった。

 この作品集は、バンクシーが自ら編集を手掛けた唯一の本。正確には、初期に自主制作で出した小さな出版物をベースに、新たな作品を加えて編集したもの。なぜ路上で描くのか。バンクシー自身の言葉の数々から、彼の秘めた思いに触れることができる。2005年の発売以来、世界で計100万部を突破したという。

 待望の日本語版は11年に刊行。現在12刷2万5000部と、美術作品集としては異例の売れ行きとなっている。担当編集者の坂口亮太さんは「アートや英国サブカルチャーが好きな層に根強い人気ですが、シュレッダー事件と東京のネズミの件で、一気にお茶の間に届くようになった」と話す。

 実は、東京のネズミも掲載されている。バンクシーは言う。<もし君が、誰からも愛されず、汚くてとるに足らない人間だとしたら、ネズミは究極のお手本だ>(PARCO出版・2800円+税)

 黒沢綾子

産経新聞
2020年4月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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