第51回大宅賞が決定 小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている』

文学賞・賞

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 第51回大宅壮一ノンフィクション賞が11日に発表され、小川さやかさんの『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』(春秋社)に決まった。

『チョンキンマンションのボスは知っている』は、香港で生きるタンザニア人たちの生活を描いたノンフィクション。既存の制度に期待しない人々が見出した、合理的で可能性に満ちた有り様とは?

 経済学者の坂井豊貴さんは《彼らは「誰々は信用できる」といった、人間そのものへの評価をしない》と本作から得られた思想に触れながら、《カラマ達の姿は、日本でも進行する「個人の時代」を先取りしているように見える。それは国家に頼れず雇用が流動化した時代のビジネスパーソンの一つの生き方なのだ》(読売新聞・書評)と解説している。
https://www.bookbang.jp/review/article/586123

 著者の小川さんは、1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ研究。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在、同研究科教授。著書に、『都市を生きぬくための狡知』、『「その日暮らし」の人類学』がある。本作は、第8回河合隼雄・学芸賞を受賞している。

 同賞は、1月~12月末までに刊行された個人の筆者(共著を含む)によるルポルタ-ジュ・内幕もの・旅行記・伝記・戦記・ドキュメンタリ-等のノンフィクション作品全般が対象。第51回の選考委員は、梯久美子、後藤正治、佐藤優、出口治明、森健の5氏が審査を務めた。受賞作品は「文藝春秋」7月号に掲載される。

 昨年は、出生前診断の誤診を巡って、北海道に住む夫婦が医師と医院を相手に損害賠償を求める訴訟を追った河合香織さんのノンフィクション作品『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(文藝春秋)と、天安門事件に様々なかたちで関わった60人以上の関係者に取材をした安田峰俊さんのルポルタージュ『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が受賞している。過去には沢木耕太郎さんの『テロルの決算』、猪瀬直樹さんの『ミカドの肖像』、米原万里さんの『嘘つきア-ニャの真っ赤な真実』、近年では森健さん『小倉昌男 祈りと経営 ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』などが受賞している。

 第51回の候補作品は以下のとおり。

『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』小川さやか[著]春秋社
『無敗の男 中村喜四郎 全告白』常井健一[著]文藝春秋
『聖なるズー』濱野ちひろ[著]集英社
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ[著]新潮社
『安楽死を遂げた日本人』宮下洋一[著]小学館

Book Bang編集部
2020年6月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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