紀伊國屋書店が選ぶ「2020年のベスト本」第1位が決定 『滅びの前のシャングリラ』

文学賞・賞

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 本日25日、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2021」が発表された。

「キノベス!2021」は、過去1年間に出版された新刊(文庫化タイトル除く)を対象に、紀伊國屋書店スタッフが「自分で読んでみて本当に面白い、ぜひ読んでほしい本を選び、お客様におすすめしよう」という企画。

 今年は16名の選考委員が、紀伊國屋書店の全スタッフから公募した推薦コメントを熟読し、ベスト30を決定。その中で今年の第1位に選ばれたのは、凪良ゆうさんの『滅びの前のシャングリラ』(中央公論新社)となった。

『滅びの前のシャングリラ』は、1ヶ月後に小惑星が衝突し地球が滅亡する世界で、「人生をうまくいきられなかった」4人の登場人物の交錯と顛末を描いた一冊。

 著者の凪良ゆうさんは、滋賀県生まれ。2007年に長編『花嫁はマリッジブルー』で本格的にデビュー。以降、各社でボーイズラブ(BL)作品を精力的に刊行し、デビュー10周年を迎えた17年には初の非BL作品『神さまのビオトープ』を発表、作風を広げた。巧みな人物造形や展開の妙、そして心の動きを描く丁寧な筆致が印象的な実力派である。おもな著作に『未完成』『真夜中クロニクル』『365+1』『美しい彼』『わたしの美しい庭』、「2020年本屋大賞」を受賞した『流浪の月』などがある。

 そのほか、第2位はディーリア・オーエンズさんの『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)、3位は 深緑野分さんの『この本を盗む者は』(KADOKAWA)となった。ベスト30は以下の通りとなった。

1位『滅びの前のシャングリラ』凪良ゆう(中央公論新社)
2位『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ(早川書房)
3位『この本を盗む者は』深緑野分(KADOKAWA)
4位『本を売る技術』矢部潤子(本の雑誌社)
5位『あつかったら ぬげばいい』ヨシタケシンスケ(白泉社)
6位『逆ソクラテス』伊坂幸太郎(集英社)
7位『食べることと出すこと』頭木弘樹(医学書院)
8位『カラオケ行こ!』和山やま(KADOKAWA)
9位『日没』桐野夏生(岩波書店)
10位『タイタン』野﨑まど(講談社)
11位『百年と一日』柴崎友香(筑摩書房)
12位『ものがたりの家 ―吉田誠治 美術設定集―』吉田誠治(パイ インターナショナル)
13位『自転しながら公転する』山本文緒(新潮社)
14位『パチンコ〈上〉・〈下〉』ミン・ジン・リー(文藝春秋)
15位『ざらざらをさわる』三好愛(晶文社)
16位『家族じまい』桜木紫乃(集英社)
17位『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸田奈美(小学館)
18位『海をあげる』上間陽子(筑摩書房)
19位『ホハレ峠――ダムに沈んだ徳山村 百年の軌跡』大西暢夫(彩流社)
20位『食べ歩くインド 南・西編』小林真樹(旅行人)
21位『奈落』古市憲寿(新潮社)
22位『沖晴くんの涙を殺して』額賀澪(双葉社)
23位『私のジャンルに「神」がいます』真田つづる(KADOKAWA)
24位『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ(早川書房)
25位『夜明けのすべて』瀬尾まいこ(水鈴社)
26位『あめつちのうた』朝倉宏景(講談社)
27位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ(中央公論新社)
28位『イマジン?』有川ひろ(幻冬舎)
29位『中古典のすすめ』斎藤美奈子(紀伊國屋書店)
30位『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』ブレイディみかこ(筑摩書房)

【「キノベス!2021」について】
過去1年間に出版された新刊(文庫化タイトル除く)を対象とし、紀伊國屋書店で働く全スタッフから公募した推薦コメントをもとに、紀伊國屋書店社内選考委員が2020年のおすすめ本ベスト30を決定。「キノベス!2021」フェアは、2021年2月1日(月)より、全国の紀伊國屋書店およびウェブストアにて一斉開催予定。スタッフが各作品に寄せたコメントを掲載した小冊子を店頭および電子書籍配信サービスKinoppyにて配布される。

Book Bang編集部
2020年12月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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