【話題の本】『殺した夫が帰ってきました』桜井美奈著 題名と帯の仕掛けで快進撃

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お盆、猛暑の読書にうってつけと思われるホラー風のタイトル。そのインパクトだけでなく、4月に刊行後すぐに重版、今月までに8刷、7万5000部と売れ行きも快調だ。

都内のアパレルメーカーに勤める鈴倉茉菜は取引先の男につきまとわれ、自宅前で待ち伏せされる。その窮地を救ったのは茉菜の「夫」。それは確かに夫の和希だったが、和希はかつて茉菜が崖から突き落として殺したはずだった-。

「ホラー作品と思いきや、物語は二転三転。ラストで点と点が結びついた時の驚きと切なさが魅力です」と担当編集者、荒田英之さんは物語の面白さを強調する。さらに荒田さんによる仕掛けもヒットの要因だ。

読者から「題名と帯にやられて購入」と言われるように、「伏線はこの帯にある」のキャッチコピーや、一般読者のSNSでの感想を帯に載せ、それがまたSNSで話題になって注目されていったという。

著者は平成25年の電撃小説大賞で大賞を受賞してデビュー後、幅広いジャンルで活躍。本作も、設定は突飛ながら〝家族〟を描く意欲作。ちなみに読者層は30~50代の女性が中心と聞いて改めてタイトルを見れば、背筋も凍りそう。(小学館文庫・748円)

三保谷浩輝

産経新聞
2021年8月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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