元リクルートのトップ営業マンが解説 「リモート営業」で効率的に結果を出すポイントとは

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(Photo by しろたく/写真AC)

 コロナ禍で増えている、企業の「リモート営業」。一般的には「対面営業」よりもアポイント・契約にたどり着くまでのハードルが高いと思われがちです。

 こうした非対面式の営業で成約につなげるポイントを、リクルートでトップ営業マンとして活躍し現在は研修会社「らしさラボ」の代表を務める伊庭正康さんに伺いました。

※本稿は『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(伊庭正康 著、日本実業出版社)を一部抜粋・再編集しています。

窓口ブロックは「会社」対「会社」で突破する

企業研修をしていると「窓口ブロック」に対する質問をよくいただきます。

営業「ご担当者様、いらっしゃいますでしょうか?」

窓口「断るように言われております」

先方の窓口の人にブロックされてしまって、担当の方に電話をつないでもらえない。テレアポでは、こういうシーンがよくありますよね。

窓口ブロックを突破するには、次のようなテクニックが有効です。

営業「大変失礼いたしました。ABC商事様へは弊社のほうからご挨拶だけでもと思いまして、お電話させていただいております」

営業では「人」と「人」の関係になることが大事ですが、人にたどり着けない場合は「会社」対「会社」感を出します。

営業「ご担当者様に、このようにお伝えいただけませんでしょうか。ご挨拶かたがた、〇〇の資料をご用意させていただいております。この資料の件だけでも、お伝えいただけませんでしょうか?」

このように「会社」対「会社」感を醸し出して「資料がある」と伝えると、窓口の人は自分では判断できなくなります。

窓口(この資料、なんか重要っぽいな。私が断っちゃっていいのかな?)

断っていいのか迷って、担当者の判断を仰がざるを得なくなります。

これで断れる人は、なかなかのやり手です。ほとんどの場合、次のようになります。

窓口「ちょっと私ではわかりかねますので、少々お待ちください」

そう言って担当者の方に確認します。

窓口「課長、らしさラボの伊庭さんって方からお電話入っているんですが、どうされますか?」

課長「営業の電話?」

窓口「営業っぽいんですけど、○○の資料があるっておっしゃっています」

課長「資料? じゃあ、ちょっと電話だけつないでもらっていい?」

いかがでしょう? 

窓口ブロックは「会社」対「会社」で突破できます。

嘘をつくことは絶対NG

ただし、やってはいけないことがあります。それは、嘘をつくことです。

営業担当者の中には、次のような突破術を使っている人がいます。

悪例(1)「市役所から話が行っているかと思うんですが」

これが事実でなければ、非常に悪質です。

こんなパターンもあります。

悪例(2)「港区における○○の件とお伝えいただければ、わかると思います」

わけがわかりません。窓口の人もわけがわからないから、とりあえず担当者の方につないでくれます。けれど……

担当「えっ、行政の方じゃないんですか?」すぐに騙(だま)されたことに気づきます。

こういう営業は、絶対にやってはいけません。

また、こんなパターンもあります。

悪例(3)「社長には、いつもお世話になっております」

嘘をついて「社長と知り合い感」を出すテレアポです。これも絶対にNGです。

嘘がバレた瞬間に、あなたや会社の信用をすべて失います。

正々堂々とやるのが、テレアポというゲーム

テレアポというのは、慣れるまでは苦行のように感じますが、ちょっとやり方を変えるだけで楽しいものになり、成果も上がります。

テレアポはゲームである。これが私の持論ですが、ゲームは正々堂々とやらなくてはいけません。

嘘をついて窓口の人を突破しても、騙されたことに気づいたお客様は、二度とあなたの会社を信用してくれなくなります。

テレアポの目標は、先方の担当者につないでもらうことではありません。「ご縁」をつくって、リードを育てていくことです。

お客様に喜んでもらえる資料を用意し、正々堂々と窓口を突破しましょう。

担当者にしか会えなくて、責任者に会えないときは?

訪問しても会えるのは担当者だけ。決裁者には会えないことはよくあります。テレアポでいえば、責任者に電話をつないでもらえないケースです。

これは、めちゃくちゃ簡単に突破できます。

「ご担当者様いらっしゃいますか?」ではなく「ご責任者様いらっしゃいますか?」、この一言で責任者の方に出てもらえます。

ただ、業種によっては、さまざまな責任者がいます。

例えば、私がやっていた求人広告の場合は「人事のご責任者様」ではダメでした。「採用のご責任者様」でもダメです。

正解は「アルバイト・パートのご責任者様」、あるいは「新卒採用におけるご責任者様」「中途採用におけるご責任者様」です。

求人広告は、部門ごとに決裁者が違う場合が多いので、どの部門の責任者なのかを明確にしないと、電話を取り次いでもらえません。

これは、どの業界でも同じです。責任者が複数いる会社にテレアポをする場合は、「○○導入のご検討をされるご責任者様」「法人向け生命保険のご責任者様」など、営業したい商品・サービスの直接の決裁者を具体的に指名して電話をつないでもらいましょう。

伊庭 正康(いば まさやす)
株式会社らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は『日本経済新聞』『日経ビジネス』『The21』など多数のメディアで紹介されている。Webラーニング「Udemy」でも営業スキル、リーダーシップなどの講座を提供し、ベストセラーコンテンツとなっている。
『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(以上、日本実業出版社)、『できるリーダーは、「これ」しかやらない』『できる営業は、「これ」しかやらない』(以上、PHP研究所)、『仕事が速い人の手帳・メモのキホン』(すばる舎)など著書多数。
「らしさラボ無料メールセミナー」(全8回)、YouTube:「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」、Voicy:「1日5分 スキルUPラジオ」も好評。

伊庭 正康(株式会社らしさラボ代表) 協力:日本実業出版社

日本実業出版社
2021年10月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本実業出版社

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