「僕が自費出版からスタートしたからこその意識」 「心霊探偵八雲」シリーズ最終巻が加筆され文庫化 作者の神永学が語る加筆の理由[文庫ベストセラー]

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 5月31日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『流浪の月』が獲得した。
 第2位は『心霊探偵八雲12 魂の深淵』。第3位は『風に訊け 空也十番勝負(七)』となった。

 2位の『心霊探偵八雲12 魂の深淵』は神永学さんの代表作「心霊探偵シリーズ」の完結巻の文庫版。同シリーズは死者の魂を見ることが出来る大学生の主人公が怪事件に挑むスピリチュアルミステリー。超常現象とミステリを絡めた設定で、近年流行りの“特殊設定ミステリ”のはしりとしてしられている。実写TVドラマ版やアニメ版、マンガ版、舞台版など様々なメディアで展開され、シリーズ累計で700万部を突破している。

 2004年にはじまったシリーズは2020年に単行本で完結したが、文庫版ではさらに加筆された最終バージョンとなっている。最終巻の文庫化にあたりKADOKAWAの文芸WEBマガジン「カドブン」のインタビューに応じた神永さんは《いまでも原稿を読み直すたびに、ここがだめだ、ここはもっとこうできるだろう、と書き直したくなるんですよ》と語る。その理由を《それは僕が自費出版からスタートしたからこそ持っている意識だと思います。普通の作家さんは賞をとってデビューしますよね。僕の場合は、賞のお墨付きがないので自分でがんばるしかないんです》と分析。《12巻も単行本から文庫にするにあたって加筆しています。もっと面白くできるはず、まだ作品の質を上げられるはずだと思うからです》と加筆の理由を明かしている。

1位『流浪の月』凪良ゆう[著](東京創元社)

最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。(東京創元社ウェブサイトより)

2位『心霊探偵八雲12 魂の深淵』神永学[著](KADOKAWA)

16年にわたって紡がれた「心霊探偵八雲」シリーズ、遂に完結! 深淵の果てに、八雲が見たものとは――。八雲の宿敵・七瀬美雪の手によって、昏睡状態に陥ってしまった晴香。絶望感に苛まれる後藤、石井、真琴だったが、八雲は彼らを置いて姿を消してしまう。晴香を守り切れず、無力感と後悔の念に襲われる八雲の前に、元凶の七瀬美雪が現れる。「始まりの場所で待っている」そう告げる彼女を追いながら、八雲は重大な決断を迫られていて……。(KADOKAWAウェブサイトより)

3位『風に訊け 空也十番勝負(七)』佐伯泰英[著](文藝春秋)

七番勝負は新たな武者修行者の登場で幕を開ける。老爺、愛鷹とともに旅を続けるひとりの武芸者。安芸広島藩の重臣の息子で、間宮一刀流の達人でもあるその男は、江戸を訪れた折に、自ら同様に命を賭して武者修行の旅を続ける空也の存在を知る。己と空也はいつの日か相まみえると確信し、旅を続けるが……。一方、異国での戦いを終えた空也は、船に乗りこみ、数年にわたった修行の地である西国をはなれる。下船したのは長州萩。ここが新たな修行の地となった。稽古の場を求め、萩の道場を訪れた空也は、ひょんなことから藩主派、家老派による萩藩の対立に巻き込まれるが、家老派と自らの因縁を知り、藩主派に力を貸すことに。金も力もない藩主派の同年代の仲間たちと共に家老派を倒すための策略を巡らせる空也たちは目的を達することができるのか?十六歳から四年を過ごした西国をついに離れ、新たな武者修行者が登場するなど、空也の新たな冒険が始まり、驚きに満ちた七番勝負の行方は――。(文藝春秋ウェブサイトより)

4位『三千円の使いかた』原田ひ香[著](中央公論新社)

5位『野良犬の値段(上)』百田尚樹[著](幻冬舎)

6位『後宮の検屍女官3』小野はるか[著](KADOKAWA)

7位『野良犬の値段(下)』百田尚樹[著](幻冬舎)

8位『JK』松岡圭祐[著](KADOKAWA)

9位『決断の刻』堂場瞬一[著](東京創元社)

10位『死刑にいたる病』櫛木理宇[著](早川書房)

〈文庫ランキング 5月31日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年6月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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