歌舞伎の荒事(豪快な演技様式)の開祖で、元禄時代の江戸で随一の人気を誇った初代市川團十郎の一代記。その演技になぜ江戸中が熱狂したのか。なぜ舞台上で命を落としたのか。謎の多い生涯が、團十郎の妻の目を通して描かれる。
市川團十郎といえば江戸歌舞伎の大名跡。折しも「十三代目市川團十郎白猿」襲名披露興行が東京・歌舞伎座で行われている。
本書からは、屋号の成田屋の由来や荒事とはどのような演技かといった、初心者が歌舞伎を鑑賞する前に知っておきたい知識も得られる。令和2年4月刊行の小説を文庫化。(文春文庫・979円)
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2022年11月20日 掲載
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