【話題の本】『テムズとともに 英国の二年間』徳仁親王著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

■陛下の留学記、復刊に大反響

『テムズとともに 英国の二年間』徳仁親王著

「私がこの短期間のうちにオックスフォードで得たものは計り知れない」-。本書は昭和58年から約2年間、英オックスフォード大に留学した天皇陛下が、平成5年に刊行された留学記だ。出版後30年がたち、古書価格も高騰して入手困難となっていたが、学習院創立150周年記念事業の一環として新装復刊された。

紀伊国屋書店によると、4月下旬に同社刊行物としては異例の7万部でスタートし、現在10万部。購買者層は30代以上の女性が中心という。

文体は端正で、時にユーモラス。陛下のお人柄がよく伝わってくる。何より印象的なのは、その観察眼だ。たとえば、英国議会開会式のご感想。「女王陛下の使者に三顧の礼をつくさせるわけであるが、私はこの一連の所作に、ピューリタン革命にまで遡(さかのぼ)る、王権から自立した、議会を主体とする政治の理念が表されている思いがした」。英国の立憲君主制のエッセンスを、陛下がしっかり受け止めておられるのが分かる。

そして新たに書き下ろした復刊の辞では、こう記されている。「遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている」(紀伊国屋書店・1100円)

磨井慎吾

産経新聞
2023年5月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。