「死」は進化に必要 では「老い」は? 生物学者が見出したヒトが老いる意味[新書ベストセラー]

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 7月4日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』が獲得した。
 第2位は『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』。第3位は『裁判官の爆笑お言葉集』となった。

 4位以下で注目は4位に初登場の『なぜヒトだけが老いるのか』。東京大学定量生命科学研究所教授で、遺伝研究の専門家・小林武彦さんが「老い」の意味を解説した一冊。小林教授は同じく講談社現代新書で刊行した『生物はなぜ死ぬのか』が新書大賞2022で2位を受賞するベストセラーとなっており、今作はその続編とも言える一冊。前作では生物は「変化と選択」を繰り返しており、多様に進化した生物が死ぬことで淘汰が進み、死は進化するために必要であると説いていた。ただし「死」と「老い」はイコールではなく、老いずに死ぬ生物も多い。今作ではヒトが死ぬ前に「老い」ることに注目しその意味を生物学的な見地から解説し、与えられた「長い老後」をどう過ごせば良いのかを提言する。

1位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか? 巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは? 言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。(中央公論新社ウェブサイトより)

2位『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤未果[著](幻冬舎)

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは? 滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

3位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。(幻冬舎ウェブサイトより)

4位『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦[著](講談社)

5位『知らないと恥をかく世界の大問題14 大衝突の時代-加速する分断』池上彰[著](KADOKAWA)

6位『脳の闇』中野信子[著](新潮社)

7位『カラー版 名画を見る眼II 印象派からピカソまで』高階秀爾[著](岩波書店)

8位『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』エマニュエル・トッド[著]池上彰[著]大野舞[通訳](朝日新聞出版)

9位『日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで』磯田道史[著](中央公論新社)

10位『完全版 ローマ人への質問』塩野七生[著](文藝春秋)

〈新書ランキング 7月4日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年7月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク