「健常者からの同情など嘲笑うかのごとき強靭な語りに怯まぬ読者はいまい」芥川賞『ハンチバック』を文芸評論家が評価[文芸書ベストセラー]

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 7月25日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『ハンチバック』が獲得した。
 第2位は『いつまで』。第3位は『ハヤブサ消防団』となった。

 今週は19日に発表された第169回芥川賞・直木賞の受賞作が3作ランクイン。1位の『ハンチバック』は芥川賞を受賞。4位の『極楽征夷大将軍』、5位の『木挽町のあだ討ち』はどちらも直木賞受賞作。

『ハンチバック』は重度の障害者のある女性を語り手に、自身の困難と健常者優位の社会をユーモラスな視点で描いた作品。著者の市川沙央さんも主人公と同じ難病を患っており、当事者による障害者表象として注目を浴びた。文芸評論家の栗原裕一郎さんは《当事者性を強く湛えながらも技巧的で、健常者からの同情など嘲笑うかのごとき強靱な語りに怯まぬ読者はいまい。》と高く評価している。

1位『ハンチバック』市川沙央[著](文藝春秋)

第169回芥川賞受賞。選考会沸騰の大問題作!「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『いつまで』畠中恵[著](新潮社)

長崎屋から妖が消えた!最初は噺家の場久、次は火幻医師。彼らを探すため、影内に紛れ込んだ病弱若だんなは、すべて西から来た妖・以津真天の仕業だと知る。大事な友を救うため、果敢に悪夢に飛び込んだ若だんなだが、目覚めた先はなんと五年後の江戸。鍵を握るのは、以津真天なのか、それとももっと大きな力なのか……。(新潮社ウェブサイトより)

3位『ハヤブサ消防団』池井戸潤[著](集英社)

主演・中村倫也!木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』原作(テレビ朝日系/毎週よる9時放送)ミステリ作家vs連続放火犯 のどかな集落を揺るがす闘い!東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは? 地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の”田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。(集英社ウェブサイトより)

4位『極楽征夷大将軍』垣根涼介[著](文藝春秋)

5位『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子[著](新潮社)

6位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

7位『水属性の魔法使い 第一部 中央諸国編7』久宝忠[著](TOブックス)

8位『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒[著](集英社)

9位『この夏の星を見る』辻村深月[著](KADOKAWA)

10位『家事か地獄か』稲垣えみ子[著](マガジンハウス)

〈文芸書ランキング 7月25日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年7月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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