神田伯山が無茶振り 17巻にわたる「チンギス紀」を書き終えた北方謙三に「チンギス・カンを一言でいうと?」[文芸書ベストセラー]

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 8月1日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『ハンチバック』が獲得した。
 第2位は『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』。第3位は『木挽町のあだ討ち』となった。

 4位以下で注目は6位に初登場の『チンギス紀 十七 天地』。北方謙三さんが巨大なモンゴル帝国を作り上げたチンギス・カンの波乱の生涯を描いた歴史小説「チンギス紀」の最終巻。北方さんの「水滸伝」19巻・「楊令伝」15巻・「岳飛伝」17巻の合計51巻に及ぶ大水滸伝シリーズに連なる描写もあり、壮大な大河小説のラストを締めくくる記念すべき完結編だ。

 完結を記念し、7月28日TBSラジオにてラジオ番組「北方謙三×神田伯山〔チンギス紀〕をめぐる対話」が放送された。講談師の神田伯山さんは中学生のころに北方さんのサイン会に訪れていたという大の北方ファン。二人はこれまでも親交を深めており、伯山さんは番組内で北方さんに「チンギス・カンについて17巻に亘って書いたと思うんですけど、愚問な質問をすると、一言でいうとどういう人物なんですかね」と無茶振り。北方さんは「師匠さあ、一言で言えないから17冊本書いてんじゃん」と笑って突っ込みながらも「虹の根本を探した、夢を見続けた男」と表現。遠くに見える虹の根本を探し、行ってみるが根本はない、しかしそれをずっと探し続けた男、と中華からモンゴル、中央アジア、東ヨーロッパにまで広がる大帝国を築いた偉大な英雄を見事に一言で言い表していた。番組は8月4日現在radikoのタイムフリーで聞くことができる。

1位『ハンチバック』市川沙央[著](文藝春秋)

第169回芥川賞受賞。選考会沸騰の大問題作!「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』宮部みゆき[著](KADOKAWA)

行く当てのない女達のため土から生まれた不動明王。悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。描きたいものを自在に描ける不思議な筆。そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固める──(KADOKAWAウェブサイトより)

3位『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子[著](新潮社)

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。現代人の心を揺さぶり勇気づける令和の革命的傑作誕生!(新潮社ウェブサイトより)

4位『可燃物』米澤穂信[著](文藝春秋)

5位『極楽征夷大将軍』垣根涼介[著](文藝春秋)

6位『チンギス紀 十七 天地』北方謙三[著](集英社)

7位『いつまで』畠中恵[著](新潮社)

8位『ハヤブサ消防団』池井戸潤[著](集英社)

9位『すべての恋が終わるとしても -140字の恋の話-』冬野夜空[著](スターツ出版)

10位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

〈文芸書ランキング 8月1日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年8月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク