「応仁の乱」の後、足利将軍は何人いた? 権威が落ちたのに何をしていた? 室町時代をテーマにしたヒット新書に続く解説書が初登場[新書ベストセラー]

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 8月29日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『世界はなぜ地獄になるのか』が獲得した。
 第2位は『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』。第3位は『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』となった。

 4位以下で注目は5位に初登場の『足利将軍たちの戦国乱世 応仁の乱後、七代の奮闘』。室町幕府の歴代将軍のうち、応仁の乱後に就任した9代足利義尚から幕府滅亡に立ち会った15代足利義昭まで、7代の将軍たちの奮闘を解説した一冊。応仁の乱により幕府の権威は各地の群雄に脅かされながらも、100年にわたり影響力を持ち続けていた。歴代将軍の生涯をたどり、彼らが各地の戦国大名とどのように付き合ってきたのか、生き残りをかけた戦いをどうくぐり抜けてきたのか、丁寧に解説した一冊だ。

 戦国乱世の扉をひらいた大事件ながら、対立構造のわかりづらい応仁の乱を解説した新書『応仁の乱 – 戦国時代を生んだ大乱』呉座勇一[著](中央公論新社)が大ヒットとなったのは2016年。そのヒットに続いたのは2017年の『観応の擾乱 – 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』亀田俊和[著](中央公論新社)。本書も同じく、これまであまり注目されてこなかったマイナーな歴史上のトピックに光を当て、室町ブームを巻き起こした二冊に続く中公新書からの一冊だ。今年7月には初代将軍足利尊氏を「やる気なし、使命感なし、執着なし」の「意思を欠いた人間」として描き、そんな彼が天下を取れた理由を物語で描いた『極楽征夷大将軍』垣根涼介[著](文藝春秋)が第169回直木賞を受賞し、話題にもなっている。室町時代にはまだまだ興味深い「なぜ」が数多く埋まっていると感じさせてくれる一冊だ。

1位『世界はなぜ地獄になるのか』橘玲[著](小学館)

人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。だが、光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。「誰もが自分らしく生きられる社会」の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは終わりのない罵詈雑言の応酬が続いている──。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。ベストセラー作家の書き下ろし最新作。(小学館ウェブサイトより)

2位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか?子どもはいかにしてことばを覚えるのか?巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは?言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』内田樹[著]白井聡[著](朝日新聞出版)

「新しい戦前」ともいわれる時代を“知の巨人”と“気鋭の政治学者”は、どのように捉えているのか。日本政治と暴力・テロ、防衛政策転換の落とし穴、さらには米中対立やウクライナ戦争をめぐる日本社会の反応など、戦後の転換期とされるこの国の今を読み解く。(朝日新聞出版ウェブサイトより)

4位『老い方、死に方』養老孟司[著](PHP研究所)

5位『足利将軍たちの戦国乱世 応仁の乱後、七代の奮闘』山田康弘[著](中央公論新社)

6位『「発達障害」と間違われる子どもたち』成田奈緒子[著](青春出版社)

7位『池上彰が大切にしている タテの想像力とヨコの想像力』池上彰[著](講談社)

8位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

9位『重力のからくり 相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』山田克哉[著](講談社)

10位『桓武天皇 決断する君主』瀧浪貞子[著](岩波書店)

〈新書ランキング 8月29日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年9月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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