「不倫」はバレてからが本番…“恋ってすごい”と浮かれる47歳女性を直木賞作家が一刀両断

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク


「不倫脳」のときに見落としがちな代償(※画像はイメージ)

 きっかけは、以前勤めていた会社の同期会で元同僚と再会したことだった。酔った勢いのままホテルに直行し、不倫の道に足を踏み入れてしまった47歳の女性……。

 その一部始終を聞き出し、浮かれる女性の言葉に鋭く切り込むのは、直木賞作家で“恋愛小説の女王”の異名を持つ唯川恵さんだ。唯川さんにとって初めての新書となる『男と女』(新潮新書)では、これまでのような小説ではなく“大人の男女”の実録エピソードを紹介し、“恋愛小説の女王”ならではの視点を加えている。

 自身の不倫を告白する47歳の由宇さん(仮名)は、不妊治療に専念するため40歳で会社を退職したという。しかし子宝には恵まれず治療を諦めた後に、妻子持ちの元同僚男性と再会し、不倫関係に陥った。

 不倫中の彼女が語る「願望」のような言葉に、唯川さんが指摘する「代償」とは――。

※以下は『男と女』(新潮新書)の「第1話 不倫はするよりバレてからが本番」の一部をもとに再構成しました。

 ***

■食事も会話もなく体を重ねるだけなのに「恋だと思っています」

不倫相手の男性のことは以前から好きだったの?

「そういうわけではないです。入社の頃はもう夫と付き合っていたし、結婚してからも、他の男性に目が向かなかったので、そんな目で見られなかったというか。でも話してみたら気が合うし、一緒にいてとても楽しくて。結局、それから会うようになりました」

彼は既婚者?

「はい、お子さんもふたり」

どのくらいのペースで会っているの?

「月に二度か三度ってところです。彼は営業職なので、昼間時間が取れる時はホテルで待ち合わせています。最初の頃は外で食事をしたり、デートみたいなことをしたんですよ。でも、やっぱり誰かに見られるんじゃないかと思うと落ち着かないし、時間を調整するのも難しくて。一度、友達と行くって夫に嘘をついて、ふたりで温泉旅行をしたことがあるんですけど、その時も人目ばかりが気になって疲れただけでした。今はふたりきりになれるだけでいいんです。もちろん男女の行為は大事だけれど、それだけじゃなくて、会っていると素の自分に戻れるんです。彼とじゃなかったらこんなに続かなかったと思うし、今も会える日が待ち遠しい」

聞かせて、素のあなたって何?

唯川恵
1955(昭和30)年生まれ。作家。1984年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞を受賞しデビュー。『肩ごしの恋人』で直木賞、『愛に似たもの』で柴田錬三郎賞受賞。『ため息の時間』『100万回の言い訳』『とける、とろける』『逢魔』など、著書多数。

Book Bang編集部
2023年11月 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク