「ブギウギ」の“お父ちゃん”は脚本家・足立紳がモデル!? 妻が暴露する“元気いっぱい”のヒモ時代!

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脚本家の足立紳さんと妻の晃子さん

 NHKの朝ドラ「ブギウギ」で脚本を務めるのは、2015年に映画『百円の恋』で日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を受賞した足立紳さん(51)。脚本家として数々の受賞歴があるだけでなく、夫婦の“レス”を描いた半・私小説『それでも俺は、妻としたい』(新潮社刊)などの著作もある才人だ。

 俳優陣の熱演に加え、「ブギウギ」の脚本への評価も極めて高く、今後ますます売れっ子になりそうな足立さんだが、脚本家として生計を立てられるようになるまでは、妻の晃子(あきこ)さんに生活を支えてもらっていたという。足立さんは当時から妻にゾッコンで、「出ていけ」と言われれば転げ回って拒否し、週一のバイトに行くのを渋り、いくら周囲に説教されても覚えてすらおらず、でもいつも元気いっぱい……。

「ブギウギ」視聴者なら、主人公・スズ子の“お父ちゃん”、梅吉が目に浮かぶかもしれない。

 まさに「ヒモ」というに相応しい当時の足立さんの“ダメっぷり”を、古くからの友人である脚本家の野木亜紀子さん(代表作に「コタキ兄弟と四苦八苦」「アンナチュラル」など)が聞き出した、夫婦+友人の爆笑鼎談を公開する。

(以下は「小説新潮2019年11月号」をもとに加筆修正したものです)

 ***

■うっとりした目で「DVしないところ」を褒められて……

野木:お二人はどうやって出会ったんでしたっけ。

晃子:私は大学のとき映研に入ってて、先輩の現場とか手伝っていたんです。そこに助監督として現れたのが彼でした。

足立:自主映画の手伝いに来てた彼女が、クランクアップの日に告白してきたのが始まり。

晃子:社会人だからキラキラして見えちゃったんです。当時は今より少しはイケメンでしたし、演劇の活動もしてて、明るくて爽やかで……24歳と20歳で付き合い出して、それから3、4回は別れてるんですけど、ここまで来ちゃった。

野木:人生捧げちゃったよね……。

晃子:結婚する前に阿佐ヶ谷で同棲していた時、いよいよダメ人間になっちゃって本気で出て行けって言ったら「俺は出て行きたくない!」って畳の上で七転八倒して暴れまわって。ダメでしょ?

野木:最終的にはどうやって落ち着くの? 

晃子:最後は、私が殴ることもあるし。

足立:俺は殴らないよ。

晃子:殴るじゃん。

足立:「俺のいいところはDVしないところだ」って言ってただろ。

野木:褒められたところは覚えてるんだね。

足立:アキ(晃子さん)がうっとりした目で「でもあんた、DVしないのが本当にいいところだよね」って言い出して、ヤバい、ついにそんな底辺のところを褒め始めたかと思った。


脚本家の足立紳さん

■週一のバイトに「行きたくない」

晃子:もう、ホント最低だった。野木さんとよく飲んでたのは10年ぐらい前ですよね。「日本映画学校」で紳の一学年後輩で、同級生に混じってうちにも来てくれてた。

足立:野木もまだそんなに売れてない頃だったね。

野木:というか、まだデビューもしてなかった。足立さん、あの頃完全にヒモだったよね。晃子さんが働いて稼いでて。週に一回だけ百円ショップの夜勤バイトやってたけど、あれも映画学校の仲間のバイト先にお情けで入れてもらったんでしょ?

足立:いや、面接はあったよ。

晃子:週に一回、夜10時からの勤務だったんですけど、夕方6時ぐらいから「行きたくない」って言い始めるんですよ。「今日、おなか痛い。調子悪い」って4時間ブツブツ言い続けてて、子供生まれたばかりだったし「甘えてんじゃねえよ」って蹴っ飛ばしてようやく出て行く。

足立:結婚前とか、ちゃんと働いていた時期も一応あるんだよ。助監督してたわけだし。

野木:あの頃、フルタイムで働いている奥さんに「疲れた」って言って足を揉ませてるって言うから、もう本当にびっくりした。週一のバイトしかしてない分際で(笑)。

晃子:揉まないと拗ねるから。

野木:その話を聞いて、意味がわからないって私がひとり怒っていると、皆は「まあ、足立だからな」って許してんの。

晃子:ちょっと人たらしなところがあるよね、私がだまされたように。ここで言うとバカ妻みたいだけど。ただ、女にはモテない。

足立紳
1972(昭和47)年、鳥取県生れ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書きはじめる。松田優作賞受賞作「百円の恋」が2014(平成26)年に映画化され、話題を集める。同作にて、シナリオ作家協会 菊島隆三賞、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。2016年、NHKドラマ「佐知とマユ」が市川森一脚本賞受賞、2019(令和元)年、監督・脚本を手がけた「喜劇 愛妻物語」が東京国際映画祭最優秀脚本賞受賞。2023年にはNHK連続テレビ小説「ブギウギ」で脚本を担当。小説作品に、『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』『それでも俺は、妻としたい』『したいとか、したくないとかの話じゃない』『春よ来い、マジで来い』がある。

Book Bang編集部
2023年12月 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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