「サタデーウォッチ9」の著者インタビューも話題 芥川賞『東京都同情塔』は「犯罪者が快適に暮らすための刑務所」が建てられた平行世界が舞台のディストピア小説[文芸書ベストセラー]

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 1月30日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』が獲得した。
 第2位は『シャーロック・ホームズの凱旋』。第3位は『ともぐい』となった。

 3位の『ともぐい』は1月17日に発表された第170回直木賞受賞作。日露戦争前夜の北海道を舞台に猟師とクマの死闘を描いた作品。5位の『八月の御所グラウンド』も同じく第170回直木賞受賞作。京都を舞台にした青春小説2篇が収録されている。6位の『東京都同情塔』は同日発表された第170回芥川賞の受賞作。「犯罪者は同情すべき存在」という考え方のもと、犯罪者が快適に暮らすための刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられた平行世界を舞台にしたディストピア小説。現代社会を侵食するごまかしや欺瞞はらんだ言い換え、生成AIによってつくられた言葉の価値など、「言葉」への問題意識を提起した作品。作品の一部に生成AIによってつくられた文章が採用されていることでも話題となった。1月27日に放送されたNHK「サタデーウォッチ9」で著者の九段理江さんのインタビューが放送され注目を集めた。

1位『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』東野圭吾[著](光文社)

 亡き夫から莫大な遺産を相続した女性の前に絶縁したはずの兄が現れ、「あんたは偽者だ」といいだす。女性は一笑に付すが、一部始終を聞いていた元マジシャンのマスターは驚くべき謎解きを披露する。果たして嘘をついているのはどちらなのか――。謎に包まれたバー『トラップハンド』のマスターと、彼の華麗なる魔術によって変貌を遂げていく女性たちの物語。(光文社ウェブサイトより)

2位『シャーロック・ホームズの凱旋』森見登美彦[著](中央公論新社)

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!? 謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『ともぐい』河崎秋子[著](新潮社)

 明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点!!(新潮社ウェブサイトより)

4位『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈[著](新潮社)

5位『八月の御所グラウンド』万城目学[著](文藝春秋)

6位『東京都同情塔』九段理江[著](新潮社)

7位『一夜 -隠蔽捜査10-』今野敏[著](新潮社)

8位『すべての恋が終わるとしても -140字の忘れられない恋-』冬野夜空[著](スターツ出版)

9位『続 窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子[著](講談社)

10位『ファラオの密室』白川尚史[著](宝島社)

〈文芸書ランキング 1月30日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年2月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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