『長篠合戦』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『長篠合戦』金子拓著
[レビュアー] 産経新聞社
織田信長・徳川家康連合軍と武田勝頼軍の「長篠合戦」(1575年)は、織田側が大量の鉄砲を用いて武田の騎馬隊を破ったことで知られる。だが、玉込めに時間のかかる火縄銃3000挺を3列に分け、交代で撃つことで連続射撃を可能にした革新的戦術とされる「三千挺三段撃ち」は、現在では否定されているという。
著者は『信長記』『利家公御代之覚書』『松平記』など、戦いに参加した者の語りや兄弟・主君の手柄を知る同時代人の記録を丹念に読み、その成立背景なども調べた上で、戦いの実像を描き直す。鉄砲戦のイメージがなぜ定着したかも追っている。(中公新書・990円)