懸賞金は1万円! 日本の桜を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」の脅威とは

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クビアカツヤカミキリ生態(提供:埼玉県環境科学国際センター)

 今年も日本各地で桜が咲き誇り、多くの人がその美しい姿を楽しんだだろう。

 だが、この桜に危機が迫っていることはご存知だろうか。その正体は、クビアカツヤカミキリという昆虫だ。生態系や人体、農林水産業へ被害を及ぼす外来生物として環境省が指定する「特定外来生物」の一つで、サクラ、モモ、ウメなど主にバラ科の樹木に発生し、幼虫が木の内部を食い荒らして枯らしてしまう。

 その被害は甚大で、梅の一大産地である和歌山県みなべ町では、幼虫の痕跡(フラス)を見つけた人に1万円の懸賞金を出す取り組みを始めて話題となっている。

 特定外来生物とはいったい何者なのか? 科学にとても詳しい「理科子先生」が、素朴なギモンにやさしく答えてくれる電子書籍『おしえて! 理科子先生(1)』(読売新聞アーカイブ選書)をもとに、その実態をみていこう。

※以下は同書の「(14)外来種カミキリ 増えてるの?」より引用しました。

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Q:外国から侵入したカミキリムシが増え、街路樹や果樹園の木が枯れるなどの被害が出ていると聞きました。理科子先生、何が起きているの?(2022年5月19日掲載)

産卵数1000個

 ゴマダラカミキリなど日本にもカミキリムシはいるけど、外来種のカミキリは繁殖力が強く、駆除の方法も確立していないので、被害が拡大しやすいの。

 ここ数年、特に問題となっているのは、「クビアカツヤカミキリ」という外来種よ。もともと中国や朝鮮半島などに生息していて、光沢のある黒色の体と、赤い胸部(クビ)の特徴から、この名前がつけられたの。

 クビアカは、サクラやウメなどに産卵する習性があって、幼虫が木の中を食い荒らす。1匹が1000個産卵することもあるそうよ。多くの幼虫が寄生した木は養分をとれず、1年から数年で枯れてしまう。

 日本で最初に幼虫による被害が確認されたのは、2012年の愛知県。現在は12都府県に広がり、果樹園の全滅や桜並木の枯死など、影響が深刻化しているわ。

 急拡大の原因は、老いた街路樹が増えたことや、中国の経済発展に伴う輸入の増加もあるとみられているわ。森林総合研究所の砂村栄力・主任研究員(39)は「幼虫が寄生した運搬用の木材の台などを介して侵入した可能性もある」と話すわ。

 事態を重くみた環境省は18年、クビアカを「特定外来生物」に指定し、飼育や保管、輸入を原則禁止にしたの。でも、拡大を防げていないのが実情よ。

侵入 ほかにも

 日本に侵入した外来種カミキリはほかにもいるわ。

 福島県郡山市では21年、中国に生息する「サビイロクワカミキリ」の侵入が国内で初めて確認された。マメ科のイヌエンジュの街路樹にいたサビイロを発見した樹木医の安斎由香理さん(45)は、「いつ侵入したか気付づかなかった」と話しているわ。

 ほかに、国際自然保護連合が「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定している「ツヤハダゴマダラカミキリ」も、埼玉県など8県で確認されたわよ。中国や朝鮮半島が原産地で、トチノキやニレ、カエデなど幅広い樹木に寄生するから、今後の拡大が心配だわ。

Book Bang編集部
2024年4月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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