〈ショッピングモールといえば軽薄で安価な「大衆消費」の象徴で、地元商店街が善で大規模商業施設は悪で、「まとも」な都市論や建築批評は商店街の側に立つものという図式が、数年前までほぼ自明視されていた〉。ズバッと言われてハッとした。視点をどこに置くかで景色は違ってみえるものだが、ひとまず「モールっていいよね」と肯定してみることで、現代社会を捉え直すきっかけが得られる。その語り口があざやか。公共空間とは、サービスとは、そして私たちの欲望とは…。思想家と写真家による楽しい対談が、思考回路をほぐしてくれる。(幻冬舎新書・840円+税)
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2016年1月31日 掲載
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