『ひとりになったライオン』
- 著者
- 夏目義一 [著、イラスト]
- 出版社
- 株式会社 福音館書店
- ジャンル
- 文学/日本文学、評論、随筆、その他
- ISBN
- 9784834083316
- 発売日
- 2017/04/21
- 価格
- 1,540円(税込)
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【児童書】『ひとりになったライオン』 夏目義一文・絵
[レビュアー] 永井優子
■ありのままの大自然
若いライオンが親離れして、ひとりで暮らすことになった。視界に広がるサバンナ。ゾウ、キリン、ダチョウを遠目に見て、「ああ、おなかが すいたなあ」。今日からは自分で獲物をとらないと生きていけない。青空を背に大写しに描かれた顔を見ると、たてがみの色はまだ薄く、鼻先の色も黒くない。強敵を狙う力がないライオンは、シマウマの子供を見つけて、草むらに身を潜めるが…。
草原の王者も大自然の厳しさにさらされている。群れを追われた雄ライオンは、生き抜いていけるのか。「ああ、おおぜいにはかてないなあ」。シマウマの反撃に遭い、顔に青あざを作ってとぼとぼと歩く姿は、情けなく滑稽だ。何度も繰り返される「おなかがすいた」という独白が、生きることの本質を思い出させる。ライオンの成長は、狙われる動物の生命の危機そのものでもあるのだ。
作者は動物画を中心に活動する画家。ライオンの毛並みや目のリアルさや、シマウマの群れの迫力が、ありのままの大自然を伝えている。(福音館書店・1400円+税)
永井優子