【児童書】『ひとりになったライオン』 夏目義一文・絵

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ひとりになったライオン

『ひとりになったライオン』

著者
夏目義一 [著、イラスト]
出版社
福音館書店
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784834083316
発売日
2017/04/19
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】『ひとりになったライオン』 夏目義一文・絵

[レビュアー] 永井優子

 ■ありのままの大自然

 若いライオンが親離れして、ひとりで暮らすことになった。視界に広がるサバンナ。ゾウ、キリン、ダチョウを遠目に見て、「ああ、おなかが すいたなあ」。今日からは自分で獲物をとらないと生きていけない。青空を背に大写しに描かれた顔を見ると、たてがみの色はまだ薄く、鼻先の色も黒くない。強敵を狙う力がないライオンは、シマウマの子供を見つけて、草むらに身を潜めるが…。

 草原の王者も大自然の厳しさにさらされている。群れを追われた雄ライオンは、生き抜いていけるのか。「ああ、おおぜいにはかてないなあ」。シマウマの反撃に遭い、顔に青あざを作ってとぼとぼと歩く姿は、情けなく滑稽だ。何度も繰り返される「おなかがすいた」という独白が、生きることの本質を思い出させる。ライオンの成長は、狙われる動物の生命の危機そのものでもあるのだ。

 作者は動物画を中心に活動する画家。ライオンの毛並みや目のリアルさや、シマウマの群れの迫力が、ありのままの大自然を伝えている。(福音館書店・1400円+税)

 永井優子

産経新聞
2017年5月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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