映画化も話題“日日是好日”第2弾  80歳を超えた武田先生

レビュー

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好日日記―季節のように生きる

『好日日記―季節のように生きる』

著者
森下典子 [著]
出版社
パルコ
ISBN
9784865062793
発売日
2018/10/07
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

映画もヒット、ロングセラーの続編、ファンにはたまらぬ一冊

[レビュアー] 立川談四楼(落語家)

 16年にわたるロングセラー『日日是好日(にちにちこれこうじつ)――「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫/飛鳥新社)が本年秋に映画化され、本書は公開に合わせて刊行された第2弾である。私もハマった口だが、ファンからすれば待ちに待った一冊だろう。

 お茶の世界にも天才はいて、前著で颯爽と登場した「ひとみちゃん」という少女のその後が気になっていたのだが、本書で消息を知ることができた。結婚し、子育てのため「お稽古」をやめているそうな。

 著者がお稽古に通い始めた頃40代だった「武田先生」も80歳を超え、少し衰えた。一時は気弱なことも言ったが今は癒え、元通りに教えていることに安堵する。前著を出した時、先生はこう言ったそうな。「こんなふうに感じてくれていたのかと思ったら、涙が出そうになっちゃった」と。このとき著者は胸を熱くし、「私はお茶の先生にはならなかったけれど、本を通じて、私が習ったお茶を読者に伝えることができれば」とあらためて思ったという。

 登場人物はすべて仮名で、とすれば武田先生も仮名なのだが、私はこの武田先生に会いたいという願望を抑えることができない。横浜っ子の老婆から十八番(おはこ)の「できるならしなくてよろしい。できないから稽古するの!」という小言を食ってみたいのだ。

 武田先生は基本お点前(てまえ)のことしか言わず、無駄口を言わない。そして凛としつつも柔かい佇いの人だ。そんな人に会う手立てはないものか。と考えたら、妙案を思いついた。映画の『日日是好日』を観に行けばいいのだ。武田先生を、先だって亡くなった樹木希林が演じているではないか。そして著者を演じるのは黒木華(はる)だ。どこに不足があろうか。

 本書もいずれ文庫化されるのだろうが、前著の文庫の解説は柳家小三治師だ。私より先に著者の世界に魅入られた人だが、今回もまた先を越されるのだろうか。

新潮社 週刊新潮
2018年11月29日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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