フリーアナウンサーが教える、表情・会話の改善でこじらせない対人関係術

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顔で話せ! 相づちで話せ! 質問で話せ!

『顔で話せ! 相づちで話せ! 質問で話せ!』

著者
庄司 麻由里 [著]
出版社
時事通信出版局
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784788716209
発売日
2019/06/14
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

フリーアナウンサーが教える、表情・会話の改善でこじらせない対人関係術

[レビュアー] 鈴木拓也

ミスをして上司から注意された時、「言ってる意味、分かる?」と言われたら、かなりへこみますよね。

この言葉は、新入社員へのあるアンケートで「プレッシャーを感じた上司の言葉は?」という質問への回答として一番多かったものだそうです。

ですが、上司がこう言いたくなるのも、部下の側に原因があるせいかもしれません。

部下の「表情消滅」が上司の怒りに火を注ぐ

そう著書の中で指摘するのは、フリーアナウンサーの庄司麻由里さんです。庄司さんは、著書『顔で話せ! 相づちで話せ! 質問で話せ! ―こじらせない対人関係術―』(時事通信社)で、「言ってる意味、分かる?」と言う上司は、「本当にただ確認しているだけかもしれない」と述べています。

その理由は、若い部下に増えている「表情消滅」。叱責を受けている間も表情がなく、本当に反省しているのかわからない。だから、上司は思わず「言ってる意味、分かる?」と尋ねてしまう。そして、怒りをヒートアップさせてしまう。

人は「自分の言葉が相手に伝わっていないかもしれない」と思うと、焦りを感じるのです。上司にしてみたら、この部下は謝罪の言葉を口にしているけれど、表情は慌てた様子もなく、困った様子もなく、ましてや悪びれた様子もない。「これがいかに重大なことなのか、いかに大変な状況に陥るかが、この部下には伝わっていないのではないか」と焦りを感じ、イライラして怒りが倍増していくのです。 (本書60pより)

こう説明されると、「表情消滅」の問題点が浮き彫りになります。

庄司さんのアドバイスは単純明快「言葉とともに、表情でサインを出してください」。本当にすまないことをしたという気持ちが表情に現れていれば、上司もそれ以上は叱ってこないものです。

他人の誤解を生む「怒り顔」の改善方法

庄司さんが本書の中で、損をする表情として挙げるのは「表情消滅」だけではありません。「怒り顔」「笑い顔」「泣き顔」「不機嫌な顔」。自分ではほとんど意識していないけれど、他人からそう見える顔になっている人が多いこと、そして、その処方箋が論じられています。

かく言う庄司さんも、アナウンサー駆け出しの頃は「怒り顔」だったそう。それを自覚しないままでいるうち、周囲から「なんだか生意気だ」と噂が立ちました。

ある日、自分がインタビューをしている映像を見て、「その顔が恐ろしいのなんのって!!」と、典型的な怒り顔であることに初めて気付きます。本人は真剣なだけなのですが、第三者から見れば、「何を怒っているのか」と誤解される表情だったのです。

庄司さんと同様、「怒り顔」で損をしている人は結構いるのではないでしょうか?そんな人が留意するポイントを、庄司さんは以下のように記しています。

目の力を抜く

目を大きく見開く

口元を緩める

「ふにゃっ」とした表情をつくる

あごを引く

少し笑いながら話す

庄司さん自身は、初対面の人との挨拶で「人の2倍くらいの笑顔をつくるぐらいの気持ちで、やっと普通の人の笑顔に見える」ことを肝に銘じているそうです。「怒り顔」の人は、特に「少し笑いながら話す」ことを心掛けてみましょう。

3つのポイントで聞き上手になる

本書で指南されているのは、表情の改善だけではありません。社内の報・連・相も含む、1対1の会話の秘訣についても、さまざまなお役立ち情報が盛り込まれています。

その1つが「聞き上手」になること。スムーズに流れる会話に重要なのは、話し手よりもむしろ聞き手だそうで、まずは聞き上手になることがすすめられています。そして、そのために必要なのが、「うなづき」「相づち」「リアクション」。

1つ目のうなづきは、「あなたの話を聞いて(理解して)いますよ」というメッセージを伝え、2つ目の相づちには、相手の話の先を促す効果があります。さらに、相づちには、「わかる、わかる」といった同調の言葉を使うことで、相手との距離を縮める効果もあります。

3つ目のリアクションは、「感情表現を豊かにする」ということ。笑ったり、驚いたり、心配したりといった感情を、表情で示します。これが皆無だと、相手は話を続けることはできないと、庄司さんは諭します。

本書には、このほか「はい、いいえで答えられる質問はしない」「語尾まではっきりと言い切る」「“へりくだりワード”はイラっとさせる」など、アナウンサーの仕事をして培われた、会話・スピーチのテクニックが数多く紹介されています。

「表情や話し方で損をしているかも」と思っている方は、本書を読んで実践してはいかがでしょう?

Source: 『顔で話せ! 相づちで話せ! 質問で話せ! ―こじらせない対人関係術―』(時事通信社)

Image: Sergey Nivens/Shutterstock

メディアジーン lifehacker
2019年9月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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