【児童書】『しあわせを運ぶねこ』吉田總一郎文・絵 「生き抜く力」伝える

レビュー

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しあわせを運ぶねこ

『しあわせを運ぶねこ』

著者
吉田總一郎 [著]
出版社
世界文化社
ISBN
9784418198207
発売日
2019/11/01
価格
1,650円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】『しあわせを運ぶねこ』吉田總一郎文・絵 「生き抜く力」伝える

[レビュアー] 戸谷真美

 白猫のフラッフィーはもうすぐ1歳。北海道・函館で暮らしていたが、親友の黒猫、ブラッキーは東京にもらわれていってしまい、札幌で仕事を探すという飼い主にも捨てられてしまう。独りぼっちのフラッフィーは、ブラッキーの手紙を頼りに東京を目指す。

 小さな子猫が勇気を出して、何とか一歩を踏み出す。すると、親切な人が手を差し伸べてくれる。ほっとしたのもつかの間、次のトラブルが襲う。

 懸命に困難を乗り越える子猫の姿を通じて、「子供たちに『生き抜く力』を伝えたい」という。温かなタッチのイラストには力があり、特にフラッフィーは表情豊かで、思わず応援したくなる。

 著者は、1998年の長野冬季五輪招致に尽力し、長野市と東京を拠点に活躍する実業家。物語の背景には、地方経済の衰退と東京への一極集中、人口減少といった現実の問題がちりばめられている。巻末には、こうした社会や経済の状況を親子で話し合えるよう、総ルビの解説も付けられている。(世界文化社・1500円+税)

 戸谷真美

産経新聞
2020年1月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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