【聞きたい。】萩原紀行さん 『野菜も人も畑で育つ 信州北八ヶ岳・のらくら農場の「共創する」チーム経営』

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野菜も人も畑で育つ

『野菜も人も畑で育つ』

著者
萩原紀行 [著]
出版社
同文舘出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784495540814
発売日
2021/02/04
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】萩原紀行さん 『野菜も人も畑で育つ 信州北八ヶ岳・のらくら農場の「共創する」チーム経営』

[文] 産経新聞社

 □毎日とてつもなく面白い

 「農業はリスクもあるので毎日ウキウキ楽しいというわけにはいきませんが、とてつもなく面白いです」

 季節とともに、農場での仕事がつづられ、爽やかな空気で満たされている。

 萩原さんは八ケ岳の高原(長野県佐久穂町)で農場を営む。化学合成農薬は使わないオーガニック栽培で、年間50~60品目の野菜を生産・販売。採取した畑の土を試験管と試薬を使って自らが土壌分析まで行い、質の高い野菜作りを目指す。またネットを通じて野菜のおいしい食べ方なども提案している。本書では農場経営の手法、人材育成などを披露する。

 「さまざまな業界からきた人がアイデアを出し合って、新しい視点で農業と向き合っています」

 農場を始めて23年。農繁期は16人のスタッフで運営する。現場で実践しているのが「怒鳴る・キレる禁止」のルール。それによって「ミスを報告しやすくなり、風通しのよい雰囲気が作られました」。

 野菜だけではなく人も育て、独立した人たちも重要なパートナーに。「過去に僕の力不足で、満足な関係をつくれなかったこともありましたが、今は巣立った人と良い関係を築いています。それがチームの強さなのではないでしょうか」

 農業とは無縁だった。農学部出身でもなく、都会のサラリーマン。退社が午後11時より前になることはめったになく、休みなく働き、3食ほぼ外食ということも。そんな生活を続けた3年目に体が悲鳴を上げた。毎夜、全身にじんましんが出た。薬が効かず悪化して会社をやめた。しかし研修先で農作業に夢中になっていたら、自然にじんましんも出なくなったという。

 「朝、早く起きて、汗を流して働き、農場で取れた野菜で3食いただく。夜はせっせと寝る。畑や山々とともに生活していると、とても健全なような気がします」(同文舘出版・1700円+税)

 渋沢和彦

   ◇

【プロフィル】萩原紀行

 はぎわら・のりゆき 昭和46年、千葉県松戸市生まれ。大学卒業後、会社員に。平成10年から農場を営み、栄養価の高い野菜を収穫。コンテストで数々の賞を受賞。

産経新聞
2021年3月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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