『月白の道』
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【気になる!】文庫『月白の道 戦争散文集』
[レビュアー] 産経新聞社
「かつて日本軍がこの山地を越えて敗走した」と教わった。7年前の夏、マラリア対策の取材でミャンマーの少数民族の集落を訪ねたときだった。車では通行できず、スコールの中を泥まみれになって歩いた。
日本軍将兵が雨期のビルマ(現ミャンマー)で飢えとマラリアにより次々と倒れた退却路は、白骨街道と呼ばれた。本書は、中国・雲南省からビルマ、タイへの敗走2000キロの記録。生還を果たした軍医詩人の著者は、昭和45年の初版のあとがきで「おびただしい死者が野ざらしになっていた」と記している。詩情香る戦記文学の文庫化。(丸山豊著、中公文庫・1100円)