『パラソルでパラシュート』一穂ミチ著

将来に悩む２９歳の女性の日常を繊細に描いた長編小説。大阪の企業で受付をしている契約社員の美雨。売り出し中の芸人、亨と出会い、芸人が集うシェアハウスに出入りするようになるが―。

美雨は３０歳で仕事を辞めなければならないが、やりたいことも特にない。しかし、シェアハウスに引っ越し、亨たちと日常を過ごすうちに強くしなやかに変わっていく。資格取得や結婚などに向けて努力するという、世間から「正しい」とみられるようなことをせずとも、自分なりに生きていけばいい。辛いことや悲しいことも、笑いに変えていく優しい世界観が著者らしい。（講談社・１７６０円）

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