『艦隊のシェフ(1)』
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【気になる!】コミック『艦隊のシェフ①』
[レビュアー] 産経新聞社
先の大戦中、太平洋の激戦地を駆け巡った駆逐艦の調理担当部署「烹炊所(ほうすいじょ)」をテーマにした漫画。揺れる洋上に適応した独特の炊飯工程や、脚気(かっけ)予防目的の麦をなるべくおいしく食べるためのレシピが興味深い。
調理現場は文字通りの戦場だが、戦闘場面はあまりない。1つの握り飯が生存兵の魂を救い、チキンライスに施されたささやかな工夫が新米パイロットを奮起させる。物語は駆逐艦の甲板の下で展開し、料理にまつわるエピソードに戦闘の激しさがにじむ。軍隊の食事を描いた作品は他にも見かけるものの、本作には独特の味わいがある。(池田邦彦原作、萩原玲二作画、講談社・715円)