国内に約21万人の患者がいるとされる摂食障害。過食嘔吐(おうと)を繰り返し、病状によっては命の危険もある精神疾患だ。本書は、結婚4年目に妻の摂食障害を知った新聞記者が、妻の介護と仕事の両立に悩み続けた約20年の日々をつづったルポルタージュ。
給料を使い果たすほど食料品を買い込み、食べては吐く行為を繰り返す。途切れない飲酒、大量服薬、リストカット…。常軌を逸した妻の行動の背後にあるものを知るとやるせない思いだ。
著者は自身の対応を反面教師にしてほしいというが、確かに他の道がなかったのか考えさせられる。(朝日新聞出版・1540円)
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2022年5月29日 掲載
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