「1日」寝かせるのがベスト? ビールを最高においしく飲むための豆知識

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うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメソッド

『うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメソッド』

著者
くっくショーヘイ [著]
出版社
リトルモア
ジャンル
芸術・生活/諸芸・娯楽
ISBN
9784898155509
発売日
2022/03/22
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

「1日」寝かせるのがベスト? ビールを最高においしく飲むための豆知識

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメソッド』(くっくショーヘイ 著、リトルモア)の著者は、ビアジャーナリスト。学生時代、あるビール出会ったことがきっかけで、ビール沼にどっぷりと浸かったのだそうです。

私の人生を変えたビールは「ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ」というベルギービールでした。見た目は深く吸い込まれるようなガーネット、ベリーやバニラ、そしてバルサミコ酢のような複雑で妖美なアロマ。口に入れた瞬間、甘酸っぱいだけでは表現できない、今まで飲んできたビールとは一線を画す味わいでした。

飲んだ後はすごく嬉しくなって、当時住んでいたアパートまで走って帰ったのを今でも鮮明に思い出すことができます。(32ページより)

以来、5000種以上のビールをテイスティングしてきたといいますが、つまり本書は、そのような実体験を持つ熱狂的ビールマニアによるガイド本なのです。

そんなワクワクするような出会いはまだないよ、という方、きっとこれからです。ビールの世界は私から見ると宇宙と同じくらい広く、今も拡大しています。その広く深い世界にずぶずぶになれるように、皆さんをいざないます……くくく。(32ページより)

こうした『企み』に基づいて書かれた本書の4「『ただ飲む』から『おいしく飲む』へ ービールのうまさは最後に決まる!ー」のなかから、1「おいしく飲むための保存 〜買ってから開栓まで〜」をチェックしてみることにしましょう。

「1日」我慢するだけでもっとうまくなる!?

仕事帰りに買ってきたビールを、そのままプシュッと開けて飲む。あるいは1〜2時間冷蔵庫で冷やしてから、晩酌時にグビっとあおるなど、ビールの楽しみ方も多種多様。ところが意外なことに、著者は「1日待ってから飲んでみませんか?」と提案しています。飲みたいときにすぐに飲むのが最高だと思うのですが、なぜ1日待つ必要があるのでしょうか?

目的は二つ。一つはビールを芯までしっかり冷やすため、もう一つは炭酸を落ち着かせるためです。

実は350ml缶の冷えたビールを買ってきても、家の冷蔵庫に1〜2時間入れただけではビールの中心部まで冷えないんです。大体4〜6時間くらい入れておくと、ビール全体が冷蔵室の設定温度(一般的には3〜6℃)まで下がります。これは、日本の大手ビール会社の淡色ラガーを飲む時の適温と言われています。(86ページより)

単に4時間待てばいいというような話ではなく、重要なポイントはビールが「炭酸飲料」であるということ。帰宅までにバッグで揺らされてきたビールを開けると泡が吹き出しますが、つまりは「振動」に弱いわけです。

しかも液体が衝撃を受けた状態のままで口にすると、炭酸が大粒でピリピリとした刺激を強く伝え、そのあと炭酸ガスが分離してしまうため、気の抜けた平坦な味になりやすいというのです。

したがって、そのまま飲みたいところをぐっと我慢して、最低1日は静置させてから飲むのがベスト。保存場所は冷蔵庫のなかでOKですが、ドアポケットやその付近の温度が変化しやすい場所や、冷却ファンの近くなど、振動が加わる場所はできるだけ避けたほうがいいようです。(86ページより)

ビールの大敵1「光」:直射日光はもちろん、蛍光灯にも気をつけて

ビールの瓶は茶色が多いのは、ビールが光にも敏感だから。光を通りにくくするためだということで、茶色→青色→緑色→無色の順で紫外線の透過率が高くなるのだそうです。

紫外線によってホップ由来の成分が変質し、獣の臭いやスカンキー(スカンクのおならの臭い)と形容される「日光臭」が付いたり、焼け焦げた臭いに感じるほど強くなったりすることもあり、それではビールの味わいを損ねてしまいます。(90ページより)

そのため直射日光に当てることは避けなければなりませんが、意外と知られていないのが蛍光灯の光なのだとか。なかには紫外線を発するものもあるため、注意が必要(LEDの場合は比較的影響が少ないといわれているようです)。

ショーケースの上段に置かれた瓶ビールに上から光がガンガン当たっている場合は、日光臭がついている可能性も。そこで「ビールは冷暗所保存が基本」と心得て、買う際にも注意する必要があるそうです。(90ページより)

ビールの大敵2「熱」:定温かつ冷蔵保管が望ましい

ビールの酸化には注意が必要ですが、酸化の大きな原因となるのが「高温」。なるべく温度を低くして保存したほうが、酸化の進行を遅くできるわけです。日本には四季があり、とくに夏と冬の温度差が激しいので、たいていのビールは「冷蔵保管」しておくのが無難

とはいえ、日本の多くのラガービールには「要冷蔵」の表記がなく、常温で保管できるものも少なくありません。それどころかクラフトビールのなかにも、常温保管可のものがあります。

なぜそれが可能なのかというと、長年の研究により、ろ過技術の向上、酸素混入の抑制、原材料の改良などが行われ、より劣化しにくいビールに仕上がっているから。しかし常温保管可のビールであっても、保管温度が30℃を超えると一気に香りや味が変わってしまうもの。

つまり、夏場に冷蔵庫に入れずに置いておくのは厳禁ですよ! ということ。また、「10℃以上の温度変化が頻繁にあっても劣化が進む」とも言われています。以上から、なるべく25℃以下で一定の温度で保存することを推奨している造り手が多いのです。(91ページより)

また、「要冷蔵」と表記のあるビールの場合はさらにデリケート。味わいのために酵母やさまざまな成分を意図的に残しているものも多く、熱や酸素による影響をより受けやすいからです。

銘柄によっては、ブルワーがおすすめする最適な保存温度があって、ビアスタイルによっても飲むときの適温はさまざま。ビールを買ってきたときに表示を見てみると、そこにヒントを見つけることもできるかもしれないと著者はいいます。(90ページより)

ビールの魅力をさまざまな角度から、深く、しかもわかりやすく解説した一冊。最大の魅力は、どのページからも著者の「ビール愛」が伝わってくる点です。好きでたまらないんだろうなと強く感じさせてくれるからこそ、そこに説得力が生まれているわけです。この週末、本書を参考にしながら、新たなビールと出会ってみてはいかがでしょうか?

Source: リトルモア

メディアジーン lifehacker
2022年6月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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