仕事の「メール」に振り回されず、時間効率をあげる2つの方法

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1日を27時間にする思考法

『1日を27時間にする思考法』

著者
石川和男 [著]
出版社
ぱる出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784827213478
発売日
2022/07/23
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事の「メール」に振り回されず、時間効率をあげる2つの方法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

人生をマネジメントする 1日を27時間にする思考法』(石川和男 著、ぱる出版)の著者は、激動の時代をビジネスパーソンが生き残っていくためには、2つの要素が必要だと考えているそうです。

ひとつめは、仕事のスピードを上げること。そのためには、

・他人に振り回されず、自分の時間は自分で管理し、成果を出す方法を身につける。

・唯一の自由時間、朝の時間を使って人生を変える方法を身につける。

・ビジネスパーソンの成果の出し方を学習する。

・最強のメール術を身につけ、メールに振り回されず本業で成果を出す。

・リモートワークでのオンとオフの切り替え方を身につける。

ふたつめは「心が満たされている」こと。

いわゆる「マインドセット」。つまり「心の在り方」が重要です。

(「はじめに」より)

以前にもご紹介したことがありますが、著者は5つの仕事をしている人物。建設会社での総務経理、大学講師、セミナー講師、コンサルタント、税理士という肩書をお持ちなのです。いかにも忙しそうですが、意外やプライベートも充実し、人生を楽しく過ごしているのだとか。

つまり本書では実体験と、時間術に関するセミナーを実施している知見に基づき、効率的な仕事の仕方とマインドセットについて明かしているわけです。

きょうはそのなかから、第3章「メールに振り回されない方法」に焦点を当ててみたいと思います。

メールを見る回数を決める

当然のことながら、メールはビジネスパーソンに欠かせないツール。ただし便利なコミュニケーション手段である反面、つい振り回されてしまいがちだというデメリットもあります。しかし著者によれば、メールに振り回されないために意識すべきことはひとつだけなのだそう。

それは、メールは「主」ではなく、「従」だと意識すること。こちらが意識して、メールを支配する側に回るのです。

メールをコントロールするための施策。

もっとも有効なのは、メールを見る回数を決めてしまうことです。(78ページより)

たとえば総務経理を担当している著者は、メールを見る回数を1日に4回と決めているのだといいます。タイミングは、出社したとき、午後の13時と15時、そして帰りの時間。時間を決めることで、メールに振り回されるのを防いでいるのです。

ただし、必ずしも4回でなくてはいけないということではなく、最適な回数は会社での立場や職種によって変わるはず。また、重要な商談を進めていて「いつ連絡があるかわからない」というようなときは、決めた回数に縛られすぎる必要もないでしょう。そのときの状況に応じて、臨機応変に対応すればいいわけです。

注意点は、闇雲にメールを見ないことです。メールはあくまで本業をサポートする手段であり、仕事においては「主」ではなく「従」であることを忘れない

ご自身の仕事を鑑みて、メールをのぞく時間と回数を決めてみてください。

この「決めること」が重要です。決めることによって、ダラダラと何回も見ることがなくなります。(79ページより)

難易度の高い仕事をしているときなどは、つい確認したくなるのがメールの恐ろしいところ。メールの確認はネット閲覧と同様に、格好の現実逃避手段となりがちなのです。だからこそ自分のスタイルに合った時間を回数を決め、メールに振り回されないようにすることが大切だということ。(76ページより)

「メールの返信遅れは失礼」という思い込みを捨てる

メールが届くと、「早く返信しなくては」と焦ってしまいがち。しかし、必ずしも急がなくてはならないわけでもなさそうです。

たとえば、お客様からメールが届いていることに気づかないまま、半日が経ってしまったとしましょう。そして、メールが届いていたことにあとから気づいたとしたら、「しまった!」と焦るでしょうか? あるいは、「相手は怒っているのではないか?」と、ドキドキしながら大慌てで返信するでしょうか?

もしもそうなら、完全にメールに振り回されている証拠だと著者はいいます。なぜなら、クレームのメールでもない限り、返信なんて相手はそれほど気にしていないものだから。送った側の立場に立って考えてみればわかりやすいと思いますが、それほど大ごとではないのです。したがって、ゆっくり返信しても問題はなし。

メール学の第一人者で、一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さんはこうおっしゃっています。

「約75%の人は、24時間以内に返信があれば『遅い』と感じないようです」(出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2020」)。

つまり、1日待っているくらいでは、大部分の人は腹など立てません。

「本当に?」と疑う方は、自分に置き換えてみてください。

先方からメールの返信が来なくても、「今日は有給休暇を取っているのかな?」とか「出張に行っているのかな?」くらいに考えるだけではないでしょうか。(93ページより)

そもそも、いろいろな仕事をしているなか、「いつ誰にメールを送ったか」を克明に覚えている人のほうが少ないはず。

また、返事がないと仕事が滞ってしまうほど重要なメールだったとしたら、再度メールを送ったり、電話をかけたりすることでしょう。通常のメールで、いちいち返信がないからといって腹を立てるはずもないわけです。

むしろ問題なのは、いつも「重要か緊急のメールが届いていないか」と不安になって何度もメールを確認してしまったり、通知をオフにできなかったりするマインド。

そんなに気にしなくても、前述のように、時間を決めて1日4回メールをチェックし、さらにスキマ時間を使って件名をチェックしていれば、なんの問題もありません。

万が一、件名チェックのときにお客様からの緊急メールを見落としても、3時間に一度はメール内容を確認するのですから、返信の遅れもたかが知れています。(94ページより)

もちろん返信が速いことはいいことですが、焦って間違えたり、不正確なメールを送ったりするより、「1営業日以内に正確なメールを送る」と決めるほうが、自分にとっても相手にとっても望ましいわけです。(92ページより)

仕事を円滑に進めるためには、訪れるピンチに動じることなく、それを切り抜けるマインドも必要。そして切り抜ければ、ピンチはチャンスに変わるのだと著者は主張しています。

そこに説得力があるのは、実際の経験を軸とした考え方であるから。したがって本書の内容も、時間をより有効に使うために役立ってくれるはずです。

Source: ぱる出版

メディアジーン lifehacker
2022年7月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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