広告が効かない時代に「リファラルマーケティング」は、なぜ効果を発揮できるのか?

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リファラルマーケティング大全

『リファラルマーケティング大全』

著者
株式会社クリエイティブホープ [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784866801964
発売日
2022/09/20
価格
2,640円(税込)

書籍情報:openBD

広告が効かない時代に「リファラルマーケティング」は、なぜ効果を発揮できるのか?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

マス広告の影響力が下がり、その費用対効果が疑問視されるようになってずいぶん時間が経ちます。

代替手段として注目を集めることになったインターネット広告の単価も高騰し、広告量も飽和状態。そんななかで急激に存在感を増してきた口コミマーケティングも、「やらせレビュー」や「ステルスマーケティング」の影響で信頼性が失われることになりました。

では、どうすればいいのか?

この問いに対し、『リファラルマーケティング大全』(株式会社クリエイティブホープ 著、フォレスト出版)の著者は、「おすすめするのはリファラルマーケティングです」と答えています。

リファラル(referral)は「紹介」や「推薦」を意味する英語で、リファラルマーケティングとは、ある商品やサービスを利用したユーザーが親しい人に紹介することでその商品やサービスの価値が波及していくことを狙うマーケティング手法です。

(中略)親しい人からの紹介であれば信頼できるのであり、ならば親しい人からの「紹介」を販促に活用しようと考えるのは極めて自然なことだといえます。(「はじめに」より)

ちなみにシリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」の創業者であるデイブ・マクルーア氏が提唱した「AARRR(アー)モデル」というものがあるそうです。サービスの成長段階を表すモデルで、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の頭文字をとったもの。

サービスはこの順に成長していくという考え方で、リファラルは4段階目。つまりリファラルが実践できていれば、その上の(安定した)収益化のベースが整ったということになるわけです。

またスタートアップ投資の世界では、ブランドがどれだけ紹介される力を持っているかを示す「リファラビリティ」という用語が定着しており、これは投資家たちが最も気にする指標でもあるそう。リファラルマーケティングで成果を上げている企業は、強いブランド力を持っているとみなされているのです。

こうした理由からリファラルマーケティングに注目している本書のなかから、事業者側のメリットについて触れた第2章「事業者視点から見るリファラル」に注目してみましょう。

紹介がもたらす事業者メリットとは?

紹介は事業者から見ると、「既存顧客との対話のきっかけ」「顧客満足度や、よいと思っている点の把握」「ゲストの興味の把握」の3点に有効なのだそうです。

それらによって、既存顧客向けのCRM(顧客関係管理)だけでなく、サービスのブラッシュアップへの活用が可能だというのです。

いっぽう、新規顧客向け施策としては、「新規顧客の獲得」「顧客獲得コストの低減につながるそう。(40ページより)

事業成長をもたらす2つのループ

現代の事業成長を考えるうえで重要なのは、上記のCRMという既存顧客との関係構築の仕組みを回すのと同時に、リファラルによる既存顧客の友人・知人グループを囲い込んでいくループを回すこと。著者はそう述べています。すなわち、CRMとリファラルこそが事業成長の両輪であると考えられるわけです。

CRMの目的は、1人の既存顧客のサービス改善を図り、利用を増やすことです。それによって1顧客の評価(満足度)とサービス価値が向上していきます。

一方でリファラルは顧客数を増やすための施策です。新規に獲得した顧客はCRMのループにより利用が増えていきます。(45〜46ページより)

CRMとリファラルの両輪によって、顧客が増え、ひとりひとりの利用もまた増えていくということ。だとすれば、これが収益向上につながるのはいうまでもありません。(45ページより)

投資家も注目する成長要因「リファラビリティ」とは?

リファラルが事業にもたらすメリットは理解できるものの、紹介してもらえるようにすること自体が課題――。そんな会社もあることでしょう。

しかし、そもそも顧客との関係構築がうまくいかないサービスは成功せず、関係構築がうまくいっていないサービスから紹介は生まれにくいのだと著者は指摘しています。

そのため、本当に紹介が生まれないのであれば、まずはブランドが掲げる思想や姿勢に問題がないかを見なおすべき。そこで注目すべきが、アメリカの投資家の間で注目されているというリファラビリティ。「ブランドにどれだけ紹介される力があるか」を示すものだそう。

そしてリファラビリティが注目されているという事実は、前述したAARRR(アー)モデルと関係があるのだといいます。

(サービスの成長段階を表すAARRRとは)まずアクセスを集め、利用を開始してもらい、利用率を高め、紹介制度で拡散し、収益最大化を目指す、というもので、リーンスタートアップと相性が良いので普及しました。

リーンスタートアップとは、必要最低限のサービス提供から始めることで素早くビジネスを開始し、徐々に機能やサービスを充実させてビジネスを成長させていく方法論です。(46ページより)

AAAモデルのなかでリファラルは、収益化の前段階。つまり紹介が発生している状況は、事業やブランドがかなり成長してきていて、収益を最大化する一歩手前まできているということ。

そのため、「紹介される力」であるリファラビリティがブランド力の指標として投資家に注目されているというわけです。(46ページより)

リファラルで「広告では出会えない層」と出会える

広告では出会えない層と出会えることも、リファラルならではの利点。たとえば広告の場合、「ワインが好き」という特定の層をターゲティングして新規獲得するためには、一定の広告費をかけなければ難しいでしょう。いっぽう、ワイン好きな人のまわりには同じ趣味趣向を持ったワイン好きの友だちが多いと考えることができます。

したがってワイン好きに届く情報を発信したいのなら、ワイン好きのルートでの口コミ紹介をたどっていくほうが効率がよいはず。

また同様に、オンライン広告でのアプローチが難しいといわれるシニア層に対しては、家族からの口コミ紹介ルートをたどるのが効率的なだということになるわけです。(52ページより)

本書を読むことで、これまでリファラルマーケティングについて知らなかった方でも、その全貌を把握し紹介を科学し、理想的なビジネスサイクルをつくれるようになるだろうと著者は太鼓判を押しています。これからのマーケティングを成功させるために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2022年10月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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