『ポワロと私 デビッド・スーシェ自伝』デビッド・スーシェ、ジェフリー・ワンセル著、高尾菜つこ訳
[レビュアー] 産経新聞社
名探偵ポワロと聞くと、多くの人がまず著者の顔を思い浮かべるだろう。「ミステリーの女王」アガサ・クリスティーが生んだ最も有名なキャラクターのイメージを決定づけた感のある1989年開始のテレビドラマシリーズで主演し続けた英国の名優が、ポワロとともに過ごした四半世紀をつづる。
役を引き受けてからまず行ったのは、ポワロ物の全作品を読み込み、服装のこだわりや癖、考え方など93項目にのぼる特徴リストを作ることだった。「ほとんど一心同体」と化すあまり、劇中でポワロが病気になると著者も体を壊すほど。ドラマ、原作いずれのファンも必読。(原書房・2970円)