一子相伝と言うように、職人技は血縁で継承されるイメージが強い。だが、外に門戸を開いて築かれる師弟関係もある。
本書は庭師や釡師、仏師、左官、刀匠ら伝統の世界に生きる、血縁のない師弟16組の実像に迫ったもの。マニュアル化や数値化が難しい職人の技。師弟の心は、伝統を受け継いでいく責任感とプライドでつながれている。
いまや「俺の背中を見て覚えろ」「技は盗め」などと言う寡黙で気難しい師匠よりも、「背中も見せるが口でも教える」タイプが多いそうだ。弟子が職人の世界に飛び込んだ理由もさまざまで興味深い。(辰巳出版・1760円)
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2023年4月9日 掲載
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