『地獄遊覧』
- 著者
- エドワード・ブルック・ヒッチング [著]/ナショナル ジオグラフィック [編集]/藤井 留美 [訳]
- 出版社
- 日経ナショナルジオグラフィック社
- ジャンル
- 芸術・生活/芸術総記
- ISBN
- 9784863135239
- 発売日
- 2023/03/03
- 価格
- 3,300円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『地獄遊覧』エドワード・ブルック=ヒッチング著(日経ナショナル ジオグラフィック)
[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)
数年前にマドリードのプラド美術館でヒエロニムス・ボスの「快楽の園」を見たときに思った。
これ、地獄の方が楽しそうじゃない?
そうなのだ、悪いことは楽しい。品行方正な天国より、地獄であれやこれやの独創性豊かな責め苦を考えるときの方が想像力豊かになれる。
そんな古今東西の「わたしの考えた最高の地獄」を遊覧旅行のように回れる本書。各国の地獄観や神様の違いも興味深い。
4コマ漫画みたいなジャイナ教の刑罰、お風呂に入っているようにしか見えないチベットの怠け者の僧侶に与えられる罰、カトリーヌ・ド・クレーヴの時祷書(じとうしょ)に描かれた地獄の口はもふもふの猫だし、イタリアの悪魔はお尻だけ緑。
地獄と冥界(めいかい)、煉獄(れんごく)、天国と見て回って、やっぱり地獄が一番楽しそうだな、と思ってしまった。藤井留美訳。