『物語 チベットの歴史』
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【気になる!】新書『物語 チベットの歴史』石濱裕美子著
[レビュアー] 産経新聞社
仏教国チベットの歴史を解き明かした一冊。唐から吐蕃(とばん)と呼ばれた古代チベット帝国は、8世紀後半に版図を拡大し、多民族を統合するため仏教を国教化。チベット仏教は、中国を支配したモンゴル帝国や清朝にも及んだ。17世紀には転生僧ダライ・ラマがチベットの最高権威者に。清朝最盛期の乾隆帝はチベットの高僧から戒を受けたという。
20世紀半ば、中国人民解放軍が中央チベットに侵攻し、ダライ・ラマは亡命した。だが、著者は「亡国でチベットの歴史が終焉(しゅうえん)したとはいえまい」とし、亡命政権の活動や欧米社会のチベット支援も盛り込んだ。(中公新書・990円)