日本のミステリー作家の草分け、江戸川乱歩(1894~1965年)の名作短編が幻想的な絵本になった。手掛けたのは、著名作家の小説の装画を数多く担当してきたイラストレーター、藤田新策。
蜃気楼(しんきろう)を見に行った帰路の汽車で、「私」は押絵を持った男と出会う。男が語り始めたのは、仮想空間の少女に恋した男の奇妙な物語…。明治時代、東京・浅草の名所だった高層建築「凌雲閣」などを舞台に、妖しくも美しい世界があっと驚く構図で表現されている。大人も楽しめる絵本。(あすなろ書房・2530円)
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2023年7月23日 掲載
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