『奈良美智』
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『奈良美智 終わらないものがたり』イェワン・クーン著、河野晴子訳
[レビュアー] 産経新聞社
ややつり上がった大きな目の少女の絵などで世界的に知られる美術家、奈良美智(63)。彼の表現や思考は変わり続けているが、一世を風靡(ふうび)した2000年代の作品群が強烈なのか、イメージが固定化されているきらいがある。
本書は英出版社が3年前に刊行した『Yoshitomo Nara』の日本語版。原点である東北、音楽との出合い、学生時代とドイツ、熱狂的な支持を得たときの葛藤、東日本大震災と原点回帰…。
奈良の半生と作品を、同時代の社会や美術史の文脈とともに追うことで、常に新しい何かを探求する美術家の姿が見えてくる。(青幻舎・6600円)