『「助けて」が言えない 子ども編』
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『「助けて」が言えない 子ども編』松本俊彦編
[レビュアー] 産経新聞社
子供の自殺を予防するため、国は平成30年、「SOSの出し方教育」の推進を通知した。だが、自傷行為や市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)を問題行動とみなすのではなく、SOSと受け取れる大人がどれだけいるか。
こんな問題意識から企画された本書は、精神医学や社会福祉の専門家らの共著。不登校や家出も子供のSOSだと指摘するほか、ゲーム依存なども取り上げた。「相談先はここ」と援助希求(助けを求めること)の責任を子供に押し付けて、その先に救いはあるかと大人の責任を問う。当事者と支援者向けの本だが、問題提起を広く共有したい。(日本評論社・1870円)