「蛭子さんが忘れても…」アンガ田中が救われた蛭子能収の言葉とは? 8年ぶりの対話が実現

対談・鼎談

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ちょっと不運なほうが生活は楽しい

『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』

著者
田中 卓志 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103552819
発売日
2023/08/31
価格
1,595円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

誰かが笑ってくれるなら

[文] 新潮社


蛭子能収さん

 アンガールズ・田中卓志さん(47)が、今年の8月末に初のエッセイ集を刊行した。

 その中で一際注目されるのが、3年前に認知症を患っていることを公表した蛭子能収さん(75)とのエピソードだ。

 約20年前にアンガールズとしてブレイクした際、テレビに出ても笑いが取れずスベってばかりだった田中さんは、精神的に追い詰められていたという。そんな田中さんを救ったのが、当時の蛭子さんが掛けた言葉だった――。

“恩人”である蛭子さんと8年ぶりに再会した田中さんが、当時を振り返った。

忘れられない蛭子さんの言葉

田中 8年くらい前、蛭子さんと二人でドライブする番組で共演した以来ですね。所沢のうどん屋さんでご飯を食べ、狭山のスキー場で一緒にスキーをして。スマホに写真が残っているかな。

蛭子 (田中さんの本のカバーを指さして)ちょっと不運なほうがいい?

田中 そうです、これ、僕の初エッセイ集です。あ、写真ありました!

蛭子 (本の帯を見て)「向かい風の多い人生です」って書いてある。不運を、他の人を喜ばせる方に変える……?

田中 そうです、そうです! 僕はこれまで、人生で「ちょっと不運なこと」が色々とあったけれど、それをエッセイに書くことで、誰かがクスッと笑ってくれたらいいなと思って。

蛭子 そうですね。

田中 これ、一緒にドライブしたときの写真です。偶然にも、二人ともオレンジ色の服だったんすよ。

田中 この本の中に、蛭子さんとの思い出も書かせてもらったんです。

蛭子 へぇ~。

田中 覚えていらっしゃるか分かりませんが、僕が芸人になって4年目くらいにテレビに出始めて……。

蛭子 えっ、芸人さんでしたっけ?

田中 蛭子さん、僕、お笑い芸人なんですよー。蛭子さんがよく共演されている、有吉(弘行)さんと同じです。

蛭子 そうか。

田中 今から20年前くらいですかね、アンガールズとしてブレイクできたタイミングの時、テレビに出ても全然笑いが取れなくて、スベってばかりで。実力がないのに人気だけはあってお仕事は頂けていたから、仕事を受けてはスベるという悪循環で……。

蛭子 20年前ね。

新潮社 波
2023年10月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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