『人間国宝という生き方』
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『人間国宝という生き方』
[レビュアー] 産経新聞社
人間国宝(重要無形文化財保持者)の工芸作家へのインタビューを基に、彼らの求道の半生や創作への思いなどをまとめた。三越のショッピングバッグのデザインで知られる森口邦彦氏(友禅)をはじめ室瀬和美氏(蒔絵)、伊勢崎淳氏(備前焼)ら30人を収めている。
ものづくりの工程を追う写真も豊富に載せているが、本書は作品紹介が目的ではなく、工芸を通して自らをどう培ってきたのか、匠の生き方に学ぶのが狙い。伝統と自己表現の間で悩んだり、時代のニーズに応えようと苦闘したり。一つの境地に到達する長い道のりと、含蓄のある言葉の数々が心を打つ。(渡辺紀子著/淡交社・3520円)