『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』稲垣栄洋著
[レビュアー] 産経新聞社
雑草学。と書くとあまり科学的な印象を受けないが、「日本雑草学会」もあり、実は立派な学問である。ベストセラー『はずれ者が進化をつくる』で知られる筆達者の農学者が、今どきの学生たちとの日常をユーモラスにつづる。
踏まれても立ち上がる雑草魂、などといわれるが、実際のところ人に踏まれる場所に生える雑草は姿勢を低くして寝そべっており、無駄に立ち上がってエネルギーを浪費したりしない。無理して頑張らずに生き延びる雑草の生存戦略は、現代の若者の生き方にも通じるものがあるのではないか-。雑草を語りつつ、人生も論じる好エッセー。(小学館・1540円)