「ウマ娘」でも活躍「メイショウドトウ」の現在は? 引退馬の牧場で猫とのんびり【写真あり】

インタビュー

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ボス猫メトと メイショウドトウ

『ボス猫メトと メイショウドトウ』

著者
佐々木 祥恵 [著]
出版社
辰巳出版
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784777830749
発売日
2023/12/06
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「ウマ娘」でも活躍「メイショウドトウ」の現在は?

[文] 辰巳出版


28歳になったメイショウドトウと“ボス猫”のメト

 北海道日高地方沿岸の中部に位置する新冠町(にいかっぷちょう)は、日本有数の競走馬の産地だ。そこに、引退馬牧場「ノーザンレイク」がある。

 ノーザンレイクでは、2001年のG1を制し、人気ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のキャラクターモチーフともなっているセン馬・メイショウドトウをはじめとした、競走馬を引退した後に繁殖や乗馬からも離れた馬たちが暮らしている。

 この牧場には、他にも人気者がいる。小さな“ボス猫”のメト(推定4歳、オス)だ。大きな馬に臆さないメトと、交流を楽しんでいるような引退馬たちの微笑ましい様子は、SNSで話題に。昨年末には売上の一部がノーザンレイクの馬たちに還元されるフォトブック『ボス猫メトとメイショウドトウ』(佐々木祥恵、辰巳出版)も出版され、同牧場に暮らした亡きプリサイスエンドやタイキシャトルの生前の様子も知ることができる。

 同書の著者で、ノーザンレイクを立ち上げて馬たちの世話を続ける競馬ライターの佐々木祥恵さんに、この牧場で暮らす動物たちについて話を伺った。

***

■ファンが引退後に引き取った馬を委託するケースも

――そもそも、引退馬とはどのような存在ですか。

 引退馬とは、競走、繁殖(種牡馬、繁殖牝馬)、乗馬などの役目から引退した馬のことです。競走馬の多くは5、6歳で引退します。その後、成績の優秀だった馬や血統の優れた馬が種牡馬や繁殖牝馬になり、適正がある馬は乗馬として活躍します。

 そして繁殖や乗馬からも引退した馬たちが「引退馬」と呼ばれ、養老牧場等で余生を過ごしています。認定NPO法人引退馬協会や個人の所有者が牧場に預託しているほか、ファンが引退後に引き取って牧場に預託するケースや、牧場で馬を引き取ることもあります。

――ノーザンレイクにはどのような引退馬がいるのでしょうか。

 ノーザンレイクには現在、6頭の馬が暮らしています。「ウマ娘」にも登場する人気G1ホースのメイショウドトウ(現在は去勢)と、キリシマノホシ、アシゲチャン、タッチノネガイ、タッチデュールの4頭の女子チーム、そしてフォトブック撮影時にはまだ仲間入りしていなかったネコパンチ(現在は去勢、3月28日で満18歳)が2023年12月に仲間に加わりました。

 メイショウドトウは引退馬協会が所有し、里親である会員の方々にその余生を支えられています。アシゲチャン、タッチノネガイは「ネガイちゃん・アシゲチャン引退繁殖牝馬の会」所有で、タッチデュールはオーナーからの預託、キリシマノホシはノーザンレイクが所有しています。ネコパンチは、競走馬引退後は東京競馬場で誘導馬や乗馬として活躍していた馬で、JRAにオファーしたところノーザンレイクへの入厩を快諾してくださり、キリシマノホシ同様、ノーザンレイクが所有する馬となりました。

 2021年に亡くなったプリサイスエンドや、翌22年に亡くなったタイキシャトルもノーザンレイクで過ごしていました。どちらも引退馬協会から預託された馬で、プリサイスは猫のメトがいちばん懐いていた馬だったかもしれません。タイキシャトルは現役時代にG1レース(海外含む)で5勝を挙げたマイル王で、メイショウドトウと同じ日にやってきました。「ウマ娘」にも登場するこの人気馬2頭が来たことが、ノーザンレイクを多くの方に知っていただくきっかけになったと思います。

辰巳出版
2024年2月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

辰巳出版

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